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分娩施設の減少・小児科医不足——「オンライン」で医療アクセスを守る自治体の動き

関連自治体: 岩手県 / 熊本県 / 奈良県香芝市 / 福島県二本松市

分娩施設の減少・小児科医不足——「オンライン」で医療アクセスを守る自治体の動き

分娩を取り扱う施設の減少と小児科医の不足は、もはや過疎地だけの課題ではありません。2026年3月の各地の議会では、周産期・小児医療のアクセスをどう守るかをめぐり、ICTやオンライン診療を選択肢に据えた答弁が相次ぎました。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「小児」と「オンライン診療」の両方に言及した議会答弁関連の記録が26自治体で確認されています。

何が議論されたか

岩手県(2026年3月議会・委員会審査) 周産期医療体制の持続可能性を問われた地域医療推進課長は、医師確保・育成、産科診療所と周産期母子医療センターの機能分担と連携に加え、「妊産婦の通院負担の軽減や、救急搬送時のICTを活用した関係機関の連携」を重要な取り組みとして挙げました。そのうえで、令和8年度当初予算案に、県内すべての救急車と分娩取扱医療機関に医療用コミュニケーションアプリを導入する経費を新たに盛り込んだと答弁。無痛分娩ができる環境の整備や、複数市町村の共同実施による産後ケア体制の構築支援もあわせて進めるとしています。

熊本県(2026年3月議会・厚生常任委員会) へき地の医療・介護をどう維持するかという質疑に対し、医療政策課長は、県が関与する医師派遣(今年度81名をへき地に派遣)だけでは限界があるとの認識を示し、医療機器を積んだ車両に看護師が乗って公民館などに出向く「医療MaaS」型の取り組みや、オンラインの活用による効率化に言及。対面診療が原則としつつ、へき地診療については医師派遣とオンラインでの効率化の「合わせ技」で診療を充実させていくのが現実的な対応だと答弁しました。

奈良県香芝市(2026年3月議会) 市側は、妊産婦を受け入れ可能な医療施設が市内に1施設のみであることを大きな課題と位置づけ、2025年11月に奈良県知事へ周産期医療・小児医療に係る病床の確保に関する要望書を提出したことを説明。2026年5月に市内で開院予定の病院への産科・産婦人科または小児科等の誘致について、法人関係者と協議を重ね前向きな返答を得ているとし、休日・夜間応急診療所等の設置を含めて周産期・小児医療の充実に努めると述べました。

福島県二本松市(2026年3月議会・一般質問) 議員からのオンライン診療導入の提案に対し、保健福祉部長は、かかりつけ医体制の維持や子ども医療電話相談(#8000)の周知に努めるとしたうえで、近隣市で小児のオンライン診療を始めている例があること、1つの市や町の単独実施では費用が高くつくことを挙げ、広域圏での検討を呼びかけたいと答弁。医師会の理解を得る必要があり直ちの導入は難しいとしつつ、「検討の方はさせていただきたい」と前向きな姿勢を示しました。

なぜ重要か

市民にとっては、身近な地域で産み育てられるかどうかに直結する問題です。自治体にとっては、施設や医師を単独で増やすことが難しい以上、ICT連携・オンライン診療・広域連携といった「アクセスを守る代替手段」の設計が現実的な論点になっています。国の制度も動いており、厚生労働省の検討会は2026年度を目途に標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた制度設計を進めるとしています(岩手県の答弁でも国の検討への対応が言及されました)。また、#8000(こども医療電話相談事業)は2010年から全47都道府県で実施されており、オンライン相談・診療はその先の選択肢として議論されています。

類似する自治体の動き

上記のとおり、県レベル(岩手県・熊本県)では予算措置・派遣体制と組み合わせたICT活用が、市レベル(香芝市・二本松市)では誘致・広域連携・オンライン診療の検討が、それぞれ2026年3月議会で語られています。県と市で打ち手の階層が異なる点が特徴です。

企業にとっての示唆

産科・小児医療の地域偏在への対応は、県レベルでは予算措置(ICT・アプリ導入経費の計上)に発展しており、市区町村レベルでは「単独では高コスト」という認識から広域圏での共同検討に向かう兆しがあります。医療ICT・オンライン診療・母子保健関連のサービスを持つ企業にとっては、①県事業との接続を前提にした提案、②複数自治体の共同利用を想定した価格・体制設計、の2点が刺さりやすい構図です(時点はいずれも2026年3月議会)。


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記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。