行政チャットボット、稼働4年目の「正答率89.7%」と稼働前夜——運用データが語る次の改良
関連自治体: 岐阜県恵那市 / 熊本県菊池市
岐阜県恵那市は2026年3月18日の市議会定例会本会議で、2021年から公式ホームページで運用するAIチャットボットの直近の正答率が89.7%に達したと示したうえで、来年度に生成AIを活用して回答基盤を作り直す方針をまちづくり企画部長答弁で明らかにした。導入から数年を経た自治体が運用データを公表する一方、これから初めて稼働させる自治体も現れており、行政の問い合わせ対応は「導入」から「運用改善」へと論点が移っている。
各市の表明
- 岐阜県恵那市(2026年3月18日・市議会定例会本会議・まちづくり企画部長): AIチャットボットを2021年7月から公式ホームページで運用し、日本語のほか5カ国語に対応していると答弁した。質問件数は令和4年度の12,094件から令和5年度11,755件、令和6年度11,117件と推移し、夜間や休日の問い合わせで機能が役割を果たしているとした。誤った回答の洗い出しとQ&Aの追加を続けた結果、直近の正答率は89.7%になったと説明した。現行の仕組みは事前に用意したQ&Aの範囲で答える設計のため意図を取り違える例があるとし、来年度は生成AIを活用してホームページ上の該当情報から新たなQ&Aを作成し、回答の基盤となる情報を充実させて精度を高めると述べた。
- 熊本県菊池市(2025年12月4日・市議会定例会本会議・政策企画部長): AIチャットボットを本年度の主な事業として来年2月に稼働させる予定だと答弁した。市民用と職員用のAIを分けて構築し、市民向けはホームページや防災行政ナビなどからの誘導で24時間365日対応、職員向けは法令や庁内マニュアルを即座に参照できる機能で事務を効率化するとした。あわせて、RPAなどの技術習得を目的に職員10名へ研修を実施して人材育成を進めているとする一方、高度な構築が技術を持つ職員に依存する継承の課題と、システム維持管理のランニングコスト増大への懸念を報告した。
背景
自治体の問い合わせ対応にAIチャットボットを使う動きは全国で広がっている。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「チャットボット」と「問い合わせ」の両方に言及した議会答弁関連の記録が86自治体で確認されている。国も基盤整備を進めており、総務省とデジタル庁は2024年3月、マイナンバーや子育て、税など約1,300問の質問と回答を搭載した「国・地方共通相談チャットボット(Govbot)」の提供を開始した(総務省)。総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」は、チャットボットによる応答を自治体のAI活用の代表的な機能に位置づけている。導入が一巡した自治体では、正答率や利用件数といった運用データの公表と、事前登録型から生成AI型への切り替えが次の論点になっている。
出典:
- 恵那市議会 2026年3月18日 定例会 本会議(議会中継の字幕データより・該当箇所 14:03頃〜)
- 菊池市議会 2025年12月4日 定例会 本会議(議会中継の字幕データより・該当箇所 35:30頃〜)
- 総務省「国・地方共通相談チャットボット(Govbot)の提供開始」(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_240326000172649.html)
- 総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」(https://www.soumu.go.jp/main_content/000820109.pdf)
記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。