コラム

自治体営業支援サービスの料金を比較する——7社を調べて分かったこと

自治体向けの事業を始めた企業から、「支援サービスを比較したいが、費用が分からない」という相談を受けることがある。

実際に調べると、比較が難しい理由は大きく2つあった。金額が公開されていないことと、公開されていても課金の単位が違うことである。このほか、成果が出なかったときの扱い、支援の範囲、データの取得元も各社で異なる。

以下は2026年7月時点の公開情報に基づく整理である(当社に関する記載のみ、2026年10月時点の内容に更新している)。各社の優劣を論じるものではなく、比較の観点を示すことを目的としている。金額は改定される場合があるため、実際の検討にあたっては各社サイトで直接ご確認いただきたい。

調べた範囲

  • 官民クラウド(ディースタンダード株式会社)
  • LobbyLocal(LobbyAI株式会社)
  • G-Finder(グローカル株式会社)
  • Gov Sales(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)
  • 自治体向け営業支援サービス(株式会社エスプール)
  • NJSS(株式会社うるる)
  • ジチサポBiz/データツール「JS-NEXT」(ベンチコミュニティー株式会社。本メディアを運営している当社のサービス)

企業が自治体へ営業する際に使うサービスとして、この7つを取り上げ、公開情報をもとに調べた。

なお、ジチタイワークスや自治体通信Onlineは情報メディアを主とするサービスであり、本稿では扱わない。情報メディアや行財政ニュースを含む広い比較は、サービス比較ページにまとめている。

一、金額を公開しているのは7社中2社

各社サイトで料金の記載を確認した結果は次のとおりである。当社以外の6社は2026年7月の調査時点、当社は2026年10月の料金改定後の内容で載せている。

サービス金額の公開
官民クラウド公開(プラン別の月額を掲載)
LobbyLocal非公表(要問い合わせ)
G-Finder非公表(要問い合わせ)
Gov Sales非公表(要問い合わせ)
エスプール非公表(成果報酬型である旨のみ記載)
NJSS非公表(有料・無料トライアルあり)
ジチサポBiz/JS-NEXT公開(2026年10月に改定)

7社のうち、具体的な金額を公開しているのは、当社を含む2社である。当社を除けば1社にとどまる。

金額を公表していない理由は各社で異なる。案件ごとに支援の範囲が異なるサービスでは、一律の価格を示しにくいという事情はある。

ただし検討する側からすると、金額が分からないと社内で議題にできない。予算の規模が読めなければ、稟議を書き始めることもできない。問い合わせて初めて分かる、という状態になる。

二、公開されていても、そのままでは比較できない

金額が分かったとしても、次の問題がある。課金の単位が会社によって違う。

同じ「1件いくら」でも、その「1件」が指すものが異なる。

「アプローチ件数」は、アポイントの数ではない

たとえば官民クラウドは、プランごとに「年間アプローチ件数」を明示している。この「アプローチ」が何を指すかは、同社のよくある質問に定義がある。

アプローチ数とは該当する自治体課題に対して企業様の企画をご提案する数を指しております。アポイントの数はアプローチ後の結果の一つです。

(官民クラウド よくある質問)

提案する数であって、アポイントが成立した数ではない。

一方、成果報酬型のサービスには、アポイントが成立した数で課金するものがある。

この2つを「1件あたりいくら」で並べると、比較にならない。提案100件と、成立100件では、意味がまったく違う。

何で割るかで、1件あたりの単価は何倍にも変わる

仮に、年間の費用が同じ2つのサービスがあったとする。

  • A社:提案の数で課金。年120件の提案
  • B社:成立の数で課金

A社の「1件あたり」は、費用を120で割った額になる。B社の「1件あたり」は、費用を成立した数で割った額になる。

A社の提案の10%がアポイントにつながり、B社でも同じ数のアポイントが成立したとする。このとき、A社の見かけの単価はB社の10分の1になる。しかし、かかった費用も、得られたアポイントの数も同じである。

比較するなら、見かけの単価ではなく「成立したアポイント1件あたりいくらかかったか」で見る必要がある。

三、成果が出なかったときの扱いが違う

これも各社で異なり、かつ費用の総額に大きく影響する。

  • 定額型:成果の有無にかかわらず費用が発生する
  • 成果報酬型:成立しなければ費用が発生しない(初期費用の有無は各社で異なる)

なお官民クラウドは、よくある質問で次のように明記している。

官民クラウドは自治体とのお取引を確約するサービスではございません。

(官民クラウド よくある質問)

成果を保証しないと明示しているのは、誠実な姿勢である。同時に、検討する側は「成果が出なかった場合に費用がどうなるか」を、契約前に確認しておく必要がある。

四、支援の範囲も、名前からは分からない

「営業支援」という同じ言葉でも、どこまでやるかは各社で違う。

たとえば官民クラウドは、支援の範囲について次のように記載している。

官民クラウドは、自治体様とのアポ取りまでをサービスとしておりますので同席はございません。

(官民クラウド よくある質問)

アポイントの獲得までか、商談に同席するか、提案書やプレゼンまで関与するか。この違いは費用に直結するが、サービス名からは判断できない。

五、データの取得元が違う

ツール型のサービスは、いずれも自治体の公開情報を検索できる点で似ている。ただしデータの取得元が違う。

サービスデータの取得元(公開情報より)
LobbyLocal議会発言・予算・計画書・入札情報・政策文書
G-Finder予算書・各種計画書・議会議事録・広報紙・議会だより
官民クラウド自治体課題データベース
NJSS入札公告
JS-NEXT(当社)議会中継の動画(動画が公開されていない議会は議事録)・事業計画・予算書・首長データ

議会議事録を対象とする場合、確定版の公開を待つ必要がある。多くの自治体で、議事録の公開までには、定例会の終了後、一定の期間を要する。

同じ「議会情報を扱う」サービスでも、議事録を待つのか、中継そのものを解析するのかで、把握できる時期が変わる。

六、問い合わせで何を聞けばよいか

以上に、契約期間と継続利用の2点を加えると、問い合わせの際に確認しておくべき点は次のようになる。

  1. 課金の単位は何か:提案の数か、成立の数か、期間か
  2. 成果が出なかった場合、費用はどうなるか:全額発生するか、一部か、発生しないか
  3. 支援はどこまでか:アポイントまでか、商談同席か、提案書作成まで含むか
  4. データは何を、いつの時点で取得しているか:議事録か、中継か、独自のデータベースか。更新の頻度はどのくらいか
  5. 契約期間の定めはあるか:最低契約期間、途中解約の可否
  6. 自社と同じ業種の企業が継続して利用しているか:回答を得られない場合もあるが、聞く価値はある。続けている企業があるかどうかは、そのサービスが機能しているかの手がかりになる

特に最後の継続利用の有無は、成果を直接確かめられないときに使える判断材料である。

当社の場合

当社でも、企業向けの支援サービスを提供している。上記の観点のうち、支援の範囲とデータの取得元について記載し、あわせてアプローチの進め方と料金にも触れておく。

  • 支援の範囲:アポイントの獲得だけでなく、商談への同席、企画提案書づくり、採点表を踏まえた対策、プレゼンの準備まで支援する
  • アプローチの進め方:ツールによる候補の抽出から自治体への連絡までを、一貫して行っている。自治体への連絡は、元自治体職員を中心とするコーディネーターが担当する。話が進んだ場合と断られた場合の両方を記録し、次にアプローチする自治体の選び方と、話の切り出し方に反映している
  • データの取得元:議事録の公開を待たず、議会中継の動画そのものを解析している(動画が公開されていない議会は、議事録をもとにする場合がある)。あわせて事業計画・予算書・首長データを使う
  • 料金:データツール「JS-NEXT」のデータ利用は月額1万円(税別)から、アポイント獲得とリード獲得(資料請求)は、いずれも1件2万円(税別)。資料請求は、課題を認識していることを確認できた自治体からのものだけを1件と数える。商談への同席とスポット支援(アプローチ戦略、プロポーザル、資料作成、候補リスト作成、スクリプト作成、背景の分析)は、内容を聞いたうえで見積もる(2026年10月に改定)

料金とご利用の形ごとの内容は「料金について」のページに記載している。ほかのサービスとの役割の違いは「サービス比較」のページにまとめた。


本稿について 2026年7月時点で各社が公開している情報に基づく。金額は改定される場合があるため、検討にあたっては各社サイトで直接ご確認いただきたい。引用は、官民クラウドのよくある質問からのものである。各社の優劣を論じる意図はない。当社に関する記載は2026年10月に更新した。

出典