コラム

自治体営業支援サービスの料金を比較する——7社を調べて分かったこと

自治体向けの事業を始めた企業から、「支援サービスを比較したいが、費用が分からない」という相談を受けることがある。

実際に調べてみると、比較が難しい理由は2つあった。金額が公開されていないことと、公開されていても課金の単位が違うことである。

以下は2026年7月時点の公開情報にもとづく整理である。各社の優劣を論じるものではなく、比較の観点を示すことを目的としている。金額は改定されるため、実際の検討にあたっては各社サイトで直接ご確認いただきたい。

調べた範囲

企業が自治体へ営業する際に使われるサービスを、公開情報から7つ取り上げた。

  • 官民クラウド(ディースタンダード株式会社)
  • LobbyLocal(LobbyAI株式会社)
  • G-Finder(グローカル株式会社)
  • Gov Sales(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)
  • 自治体向け営業支援サービス(株式会社エスプール)
  • NJSS(株式会社うるる)
  • ジチサポBiz / JS-NEXT(ベンチコミュニティー株式会社・本メディア運営元)

なお、ジチタイワークスや自治体通信Onlineは自治体職員向けのメディアであり、企業が使う営業支援サービスとは性格が異なるため、本稿では扱わない。情報メディア・検索ツールを含む広い比較はサービス比較ページにまとめている。

一、金額を公開しているのは7社中2社だった

各社サイトで料金の記載を確認した結果は次のとおりである。

サービス金額の公開
官民クラウド公開(プラン別の月額を掲載)
LobbyLocal非公開(問い合わせ)
G-Finder非公開(問い合わせ)
Gov Sales非公開(問い合わせ)
エスプール非公開(成果報酬型である旨のみ記載)
NJSS非公開(有料・無料トライアルあり)
ジチサポBiz / JS-NEXT公開

7社のうち、具体的な金額を掲載しているのは2社である。自社を除けば1社にとどまる。

非公開である理由は各社それぞれだろう。案件ごとに範囲が異なるサービスでは、一律の価格を示しにくいという事情はある。

ただし検討する側からすると、金額が分からないと社内で議題にできない。予算の規模が読めなければ、稟議を書き始めることもできない。問い合わせて初めて分かる、という状態が続く。

二、公開されていても、そのままでは比較できない

金額が分かったとしても、次の問題がある。課金の単位が会社によって違う。

同じ「1件いくら」でも、その「1件」が指すものが異なる。

「アプローチ」はアポイントの数ではない

たとえば官民クラウドは、プランごとに「年間アプローチ件数」を明示している。この「アプローチ」が何を指すかは、同社のよくある質問に定義がある。

アプローチ数とは該当する自治体課題に対して企業様の企画をご提案する数を指しております。アポイントの数はアプローチ後の結果の一つです。

(官民クラウド よくある質問)

提案する数であって、アポイントが成立した数ではない。

一方、成果報酬型のサービスでは、アポイントが成立した数で課金される。

この2つを「1件あたりいくら」で並べると、比較にならない。提案100件と、成立100件では、意味がまったく違う。

何で割るかで、金額は何倍も変わる

仮に、年間の費用が同じ2つのサービスがあったとする。

  • A社:提案の数で課金。年120件の提案
  • B社:成立の数で課金

A社の「1件あたり」は、費用を120で割った額になる。B社の「1件あたり」は、費用を成立した数で割った額になる。

アポイントの成立率が10%なら、同じ費用でもA社の見かけの単価はB社の10分の1になる。しかし得られる商談の数は同じである。

比較するなら、単価ではなく「商談1件あたりいくらかかったか」で見る必要がある。

三、成果が出なかったときの扱いが違う

これも各社で異なり、かつ費用の総額に大きく影響する。

  • 定額型 —— 成果の有無にかかわらず費用が発生する
  • 成果報酬型 —— 成立しなければ費用が発生しない(初期費用の有無は各社で異なる)

なお官民クラウドは、よくある質問で次のように明記している。

官民クラウドは自治体とのお取引を確約するサービスではございません。

(官民クラウド よくある質問)

成果を保証しないことを明示するのは誠実な記載である。同時に、検討する側は「成果が出なかった場合に費用がどうなるか」を、契約前に確認しておく必要がある。

四、支援の範囲も、名前からは分からない

「営業支援」という同じ言葉でも、どこまでやるかは各社で違う。

たとえば官民クラウドは、支援の範囲について次のように記載している。

官民クラウドは、自治体様とのアポ取りまでをサービスとしておりますので同席はございません。

(官民クラウド よくある質問)

アポイントの獲得までか、商談に同席するか、提案書やプレゼンまで関与するか。この違いは費用に直結するが、サービス名からは判断できない。

五、データの取得元が違う

ツール型のサービスは、いずれも自治体の公開情報を検索できる点で似ている。ただし何を解析しているかが違う。

サービス解析対象(公開情報より)
LobbyLocal議会発言・予算・計画書・入札情報・政策文書
G-Finder予算書・各種計画書・議会議事録・広報紙・議会だより
官民クラウド自治体課題データベース
NJSS入札公告
JS-NEXT(本メディア運営元)議会中継の動画・事業計画・予算書・首長データ

議会議事録を対象とする場合、確定版の公開を待つ必要がある。多くの自治体で、議事録の公開は定例会終了後に一定の期間を要する。

同じ「議会情報を扱う」でも、議事録を待つのか、中継そのものを解析するのかで、把握できる時点が変わる。

六、では、何を聞けばよいか

以上を踏まえると、問い合わせの際に確認しておくべき点は次のようになる。

  1. 課金の単位は何か —— 接触の数か、成立の数か、期間か
  2. 成果が出なかった場合、費用はどうなるか —— 全額発生するか、一部か、発生しないか
  3. 支援はどこまでか —— アポイントまでか、商談同席か、提案書作成まで含むか
  4. データは何を、いつの時点で取得しているか —— 議事録か、中継か、独自のデータベースか。更新の頻度は
  5. 契約期間の縛りはあるか —— 最低契約期間、途中解約の可否
  6. 同業他社の継続利用はあるか —— 出してもらえないかもしれないが、聞く価値はある。続けている企業がいるかどうかは、その手段が機能しているかの手がかりになる

特に6番は、直接のデータが取れないときに使える判断方法である。継続には理由があり、離脱にも理由がある。

当社の場合

本メディアを運営するベンチコミュニティーでも、企業向けの支援サービスを提供している。上記と同じ観点で、自社の条件を記載しておく。

  • 課金の単位 —— 初回テスト(5万円・20自治体アプローチ+アポイント2件分込み)を除き、アポイントが成立した数。接触した数では請求しない
  • 成果が出なかった場合 —— 初回テスト(5万円)以降の追加請求はない。20自治体に当てて成果が出なければ、理由を報告して中断する
  • 支援の範囲 —— アポイントの獲得だけでなく、企画書づくり、採点表への対策、プレゼンまで同席する
  • アプローチ方法 —— ツールの運営と架電を、同じチームが行っている。通った場合と切られた場合の両方を記録し、次に当てる自治体の選び方と切り出し方に反映している
  • データ —— 議会中継の動画を解析している。議事録の公開を待たない。あわせて事業計画・予算書・首長データを使う
  • 契約期間 —— 縛りなし。アプローチについて月額の固定費用はない(データツールJS-NEXTは月額8万円の月額制)

金額と進み方は料金ページにすべて掲載している。他社との位置づけはサービス比較にまとめた。


本稿について 2026年7月時点で各社が公開している情報にもとづく。金額は改定される場合があるため、検討にあたっては各社サイトで直接ご確認いただきたい。引用は各社の公開ページおよびよくある質問から行っており、優劣を論じる意図はない。

出典