コラム

自治体プロポーザル支援サービスの選び方——研修型・AI型・制作型・メディア型・伴走型の違い

自治体の公募型プロポーザルに提案する企業は増えているが、仕様書の読み解きから企画書の作成、プレゼンテーションまでを自社だけでこなすのは負担が大きい。これを支援するサービスも、研修で社内の提案力を底上げする型、AIで提案書の作成を効率化する型、制作を代行する型、自治体特化メディアの認知とネットワークを生かす型、案件の兆候をつかむ段階から並走する型まで、性格の異なるものが並んでいる。本稿は各型の内容を公式情報に基づいて整理し、自社の状況に応じた選び方の軸を示す。

5つの型の内容

1. 研修型——社内に提案力を育てる

株式会社LGブレイクスルーの「プロポーザル勝率向上研修」は、企業の担当者・マネジメント層向けに、プロポーザルの仕組みの理解から企画提案書の作成技術、プレゼンテーション・ヒアリング戦略までを教育する研修である。研修は0.5日を3回実施し、終了後1ヶ月間のフォローアップが付く。自治体ビジネスの基礎知識を扱う動画150本を2ヶ月間視聴できる仕組みもある。料金は公式サイトに2,500,000円(税別、3アカウント付与)と明記されている。同社は「全国どこの自治体でも通用する」再現性を重視するとしており、公式サイトにはANA、NTT関連企業、京セラ、コクヨなど23社以上のクライアント名が掲載されている。

自社に提案の型そのものが蓄積されておらず、担当者の入れ替わりがあっても再現できる体制を社内に残したい企業に向いている型である。

2. AI自動作成型——公示の発見から提案書のドラフトまでを効率化する

Grabion株式会社が提供する「PropoBase」は、官庁・全国47都道府県・主要市区町村やDMOの公示サイトを横断検索する機能と、仕様書のPDFをアップロードすると評価基準から逆算したストーリーラインや図表付きのドラフトをAIが生成する提案書作成機能、提案内容からWBSを分解して見積書を自動作成する機能を持つ。料金は公式サイトに月額プランが明記されており、Light 9,000円、Standard 29,800円(いずれも税込)、Premiumは要問い合わせとなっている。

案件数をこなす必要があるが、公示の探索や提案書の下書きに割ける人員が限られている企業に向いている型である。ただし、公式サイトの説明はドラフト生成が中心で、仕様書の読解や戦略の妥当性、自治体側の評価者の視点を反映した最終的な仕上げは、利用企業側の判断が必要になる。

3. 制作代行型——仕様書の読解からデザイン・プレゼンまでを外部委託する

株式会社旭高速印刷(ART&旭)は、仕様書の読み合わせ(無料)から打ち合わせ、企画考案、デザイン制作、企画書作成、プレゼン同行(有償)、動画・WEB・システム開発・印刷物までの制作物作成までを一連の流れで支援している。社内にコピーライター・編集者・デザイナーを抱え、複数の専門領域にまたがる要件に対応するとしている。同社サイトでは、リピート率98%、同一プレゼンへの2年目参戦時の受注率90%という数字を挙げている。主な対象として代理店の担当者を挙げており、旅行会社や人材派遣会社など多業種の実績があるとしている。料金は公式サイトに具体的な金額の記載はなく、相談は無料、仕様書読み合わせと企画書デザインの一部は無償対応としている。

自社に案件は入ってくるが、デザインや資料構成、プレゼン資料の完成度を上げる制作力が社内に不足している企業に向いている型である。

4. メディア発営業支援型——自治体特化メディアの認知とネットワークを生かす

株式会社ジチタイワークス(株式会社ホープグループ)は、行政マガジン「ジチタイワークス」を年6回・120,000部、全国1,788自治体の全部署に配布しており、公式サイトでは自治体職員の95%以上に認知されているとしている。BtoGプロモーション支援では、この情報誌への掲載を軸に、市場調査・コンサルティング、リード獲得、認知拡大を支援するとしており、累計1,000社以上の支援実績を挙げている。料金は公式サイトに記載がない。

公式サイトの説明は、自治体側への認知形成や商材の周知が中心であり、個別のプロポーザル案件における提案書作成やプレゼン支援そのものを扱うとは明記されていない。自社の商材をまず自治体に広く知ってもらう段階にある企業や、個別案件よりも面での認知拡大を優先したい企業に向いている型である。

5. 伴走型——案件の兆候をつかむ段階から受注まで並走する

ジチサポBizは、本記事を掲載する自治体ニーズジャーナルの運営元であるベンチコミュニティー株式会社が提供するサービスである。公式サイトでは、議会情報・事業計画や予算書・首長データを組み合わせ、検討が動き出した自治体を公示前の段階で見つける「見つける」、アポイントの獲得を支援する「会う」、企画書づくりや採点表対策、プレゼンなど提案を支援する「勝つ」の3工程を掲げている。これとは別に、アプローチ以前の段階や自治体への展開中にも、なぜ提案やサービスが刺さらないのかを診断し、住民視点でのサービス改善や自治体課題にフィットする形へのカスタマイズを助言する、工程を横断したアドバイザリーも提供している。元自治体職員の実務知見を生かすとしており、公式サイトには「ツールだけの会社、アポだけの会社はあります。両方を受注までつなげる」という説明がある。料金は公式サイトに記載がなく、無料相談・無料レポートの窓口がある。

案件が公示された後からの提案支援だけでなく、公示前の検討段階からアプローチしたい企業や、案件発掘から受注までを一貫して任せたい企業に向いている型である。

比較表

提供社・サービス名主な内容対象フェーズ料金の公式記載
研修型株式会社LGブレイクスルー「プロポーザル勝率向上研修」提案書作成・プレゼン技術の教育、社内体制の標準化案件発掘〜提案(社内育成)2,500,000円(税別)
AI自動作成型Grabion株式会社「PropoBase」公示横断検索、提案書・見積書のAI自動作成公示検索〜提案書ドラフトLight 9,000円/月、Standard 29,800円/月(税込)、Premiumは要問い合わせ
制作代行型株式会社旭高速印刷「ART&旭」仕様書読解、企画書デザイン制作、プレゼン同行提案書作成〜プレゼン記載なし(相談無料・一部無償対応)
メディア発営業支援型株式会社ジチタイワークス行政マガジン掲載、市場調査、リード獲得、認知拡大認知形成〜リード獲得記載なし
伴走型ベンチコミュニティー株式会社「ジチサポBiz」案件の兆候発見、商談同席、提案支援+横断的なサービス改善助言(アドバイザリー)公示前の兆候発見〜受注記載なし(無料相談あり)

どの型を選ぶか——自社の状況で考える判断軸

どの型が優れているかは一概には決まらない。判断の軸になるのは、自社のプロポーザル経験の有無、社内で提案書作成に割ける人員、こなしたい案件数、そして案件のどの段階からアプローチしたいかである。

  • 提案の型やノウハウが社内に蓄積されておらず、担当者が変わっても再現できる体制を残したいなら、研修型が選択肢になる。
  • 案件数をこなす必要があるが、公示の探索や提案書の下書きに割ける時間が足りないなら、AI自動作成型が下書きの時間を圧縮する助けになる。ただし最終的な内容の練り込みは自社の役割として残る。
  • 案件は入ってくるがデザインやプレゼン資料の完成度を上げる制作力が不足しているなら、制作代行型が実務を補う。
  • まだ自社の商材を自治体に広く知ってもらう段階で、個別案件より面での認知拡大を優先したいなら、メディア発営業支援型が合う。
  • 公示された後からの対応では出遅れると感じており、検討が動き出す段階からアプローチしたい、かつサービス改善や新規事業開発の相談まで一貫して任せたいなら、伴走型が選択肢になる。

複数の型を組み合わせる考え方もある。たとえば社内研修で提案の型を身につけつつ、繁忙期はAIで下書きの時間を圧縮する、あるいは伴走型で案件の兆候をつかみつつ、デザインの完成度は制作代行型に任せる、といった組み合わせも成り立つ。自社が今どの段階でつまずいているかを起点に選ぶことが、遠回りを避ける近道になる。

なお、本記事の伴走型で紹介したジチサポBizは、本記事を掲載する自治体ニーズジャーナルの運営元であるベンチコミュニティー株式会社が提供するサービスである。この点を明記したうえで、他の型と同じ基準・同じ情報源(公式サイト)で内容を整理した。


出典: