空き家の代執行・費用回収、進まず——豊能町は5段階の措置経て実施、胎内市は回収断念も着手方針
関連自治体: 大阪府豊能町 / 新潟県胎内市 / 福岡県太宰府市
大阪府豊能町の都市建設部長は2026年3月の町議会一般質問で、希望が丘5丁目の空き家について通知・指導・勧告・命令・戒告と措置を重ねても改善されず、所有者に代わって除草・伐採を行う行政代執行を3月10日に実施する予定だと答弁した。危険な空き家の除却は代執行に踏み込んでも費用を所有者から回収できず、所有者不明や相続放棄で手続きが進まない状態が各地の議会で報告されている。
各市の表明
- 大阪府豊能町(2026年3月・町議会3月定例会一般質問・都市建設部長): 希望が丘5丁目の空き家について、2025年5月26日の現地立ち合い後に所有者宅を訪問し、通知・指導・勧告・命令・戒告を行ったが、2026年2月の訪問でも改善されなかったと説明した。所有者に代わって除草・伐採を行う行政代執行を3月10日に実施する予定とした。議員は、同じ場所で同じ問題が繰り返し起き職員が同じ対応を続けていると指摘し、国の空家等対策特別措置法だけではきめ細かな地域対応が難しいとして、独自条例の制定を求めた。
- 新潟県胎内市(2026年3月12日・市議会3月定例会一般質問・市長): 市長は、行政代執行について「相手方から資金が回収できなくても、やらなければいけない部分はやっていくべき」と答弁した。通勤・通学など人が往来する場所で危害が及ばないよう、スピード感を持って重点的に進める方針を示した。所有者や相続人に取り壊しを依頼する通知は、市長名だけでなく各行政区の区長との連名で出す考えも示した。議員は、資金がなく取り壊しができないまま相続放棄された空き家に、市が対応せざるを得ない実態を問うた。
- 福岡県太宰府市(2026年3月10日・市議会3月定例会一般質問・都市整備部長): 2016年度の実態調査と2020年3月の対策計画策定を経て空き家の件数は年々減少していると答弁した一方、所有者はいるものの連絡しても返信がなく手つかずの空き家があると認めた。都市整備部長は、状況により対応は異なるとしたうえで、継続的に適正管理を依頼するほか、郵送以外の連絡手段を模索し、対応依頼が可能かを検討するなど粘り強く働きかけているとした。相続財産管理人制度の活用は限定的にとどまる。
背景
空家等対策特別措置法は、そのまま放置すれば倒壊などのおそれがある空き家を特定空家等と位置づけ、指導・勧告・命令を経て行政代執行できる仕組みを定める。国土交通省によると、令和4年3月末までの累計で行政代執行は140件、所有者不明時の略式代執行は342件に上る。略式代執行では代執行後に所有者が判明しても裁判所の確定判決を得なければ費用を徴収できない課題があったが、2023年12月13日施行の改正で、国税滞納処分の例による強制徴収が可能になった。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「空き家」と「代執行」「所有者不明」「相続放棄」のいずれかに言及した議会答弁関連の記録が220自治体で確認されている。
出典:
- 豊能町議会 2026年3月 令和8年3月定例会一般質問(動画: https://www.youtube.com/watch?v=mtsy70Gnp6w&t=2295s / 該当箇所 38:15頃〜)
- 胎内市議会 2026年3月12日 令和8年第1回定例会一般質問(動画: https://www.youtube.com/watch?v=LMLzKtZUyEs&t=598s / 該当箇所 7:49頃〜)
- 太宰府市議会 2026年3月10日 令和8年第1回3月定例会一般質問(動画: https://www.youtube.com/watch?v=9a5cHBqLQlY&t=765s / 該当箇所 13:16頃〜、14:23頃〜)
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html)
- 当社データベース集計: 2025年7月以降の議会関連記録を対象に「空き家」または「空家」と「代執行/所有者不明/相続放棄」のいずれかに言及した記録を集計(220自治体・413件)
記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。