要支援者の個別避難計画、3市町で作成状況と運用に差

関連自治体: 北海道雄武町 / 静岡県磐田市 / 愛知県江南市

北海道雄武町は令和7年第5回定例会の一般質問で、避難行動要支援者名簿に登録する69人のうち18人分の個別避難計画を作成済みだと総務課長が答弁した。2021年の災害対策基本法改正で作成が市町村の努力義務となった個別避難計画をめぐり、名簿の作成率や台帳システム、地図情報との連携など、運用段階での対応が自治体ごとに分かれている。

各市町の表明

  • 北海道雄武町(令和7年第5回定例会・一般質問・総務課長): 要介護認定3から5、身体障害者手帳1級から3級の交付を受けている者など一定の条件を満たす者の名簿を整備し、11月末日現在で69人が登録されていると答弁した。このうち18人に対して個別の避難計画を作成済みとした。あわせて一人暮らしの高齢者等に緊急通報システムの専用機器を貸し出し、自主防災組織は14自治会で組織化されていると述べた。冬季や夜間、暴雪、停電時の避難には特有の課題があると認識しているとした。
  • 静岡県磐田市(2026年2月25日・本会議・市長): 災害時の要支援者名簿と地図情報について、避難行動要支援者台帳システムを導入し、担当課のみが管理・閲覧できる状況だと市長が答弁した。地理情報システム(GIS)に登録して避難行動要支援者情報を公に周知することは好ましくないため、現時点での活用は考えていないと述べた。福祉分野でのGIS活用事例はなく、防災分野では過去の浸水箇所やハザードマップのデータを窓口対応や市ホームページでの公開に用いているとした。議員はGISと名簿の重ね合わせによる支援を求めていた。
  • 愛知県江南市(2026年2月25日・本会議・市長): 障害のある人への防災対策として、災害時に自ら避難することが困難な障害のある人を避難行動要支援者として把握し、個別避難計画の策定を進めていると市長が答弁した。あわせて協定福祉避難所の整備に努めるほか、指定避難所で使う災害用コミュニケーションボードの作成や車椅子対応トイレの備蓄など、障害のある人の利用に配慮した取り組みを行っているとした。

背景

個別避難計画は、高齢者や障害者など避難行動要支援者ごとに、避難を支援する人や避難先を定めておく計画である。2021年5月の災害対策基本法改正で第49条の14が設けられ、市町村の努力義務とされた。国は、地域のハザードの状況や心身の状況、独居など居住実態を踏まえて優先度の高い者から、おおむね5年で作成するよう求めている。改正の背景には、近年の災害で亡くなる人に占める高齢者の割合の高さがある。名簿の登録者数や台帳システムの整備状況、地図情報との連携方針は自治体ごとに異なり、作成率や運用手法に差が生じている。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「個別避難計画」と「要支援者」の両方に言及した議会関連記録が208自治体で確認されている。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。