公立病院の赤字、再建の道筋見えず——岩手県73億円・兵庫県56億円・斜里町1.3億円
関連自治体: 岩手県 / 兵庫県 / 北海道斜里町
岩手県は2026年2月25日の県議会本会議で、県立病院が前年度に73億円の赤字を計上し創設以来最大の経営危機に直面していると明らかにし、経営改善の要と位置づけた医療局管理者設置条例は説明を尽くさないまま撤回されたと答弁した。赤字の拡大と一般会計からの繰入金の膨張、病床再編を迫られる公立病院の経営難は各地の議会で報告されているが、立て直しのめどは立っていない。
各市の表明
- 岩手県(2026年2月25日・県議会本会議・知事): 県立病院は前年度73億円の赤字を計上し、令和7年度も新たな借り入れが必要になるなど創設以来最大の経営危機にあると答弁した。経営改善に向けて提案した医療局管理者設置条例は、必要性や効果の説明が尽くされないまま撤回され、知事は再提案の可否を含め対応を検討するとした。来年度は医療現場のデジタル化、診療報酬改定への対応、医療局内への横断的なプロジェクトチーム設置で対応を強化するとした。議員は前年度73億円の赤字と228億円の一般会計繰入金を挙げ、条例案の撤回は「改革ではなく課題の先送りではないか」と質した。
- 兵庫県(2026年2月16日・県議会健康福祉常任委員会・病院局): 令和8年度の病院事業会計予算案で、当期純損益87億5,900万円、特別損益を除いた経常損益で56億4,400万円の赤字を見込むと説明した。診療報酬のプラス改定に加え収益増加と費用削減の両面から収支改善策に取り組むとしたが、物価や賃金の継続的な上昇により経常損益の赤字基調は続く見込みだとした。委員からは、経営が厳しいなかで病床機能の休止が増えざるを得ない現状を踏まえ、県の医療政策と県立病院の役割の整合をどう保つかを問う質疑が出た。
- 北海道斜里町(2026年2月26日・町議会産業構成常任委員会・病院事務部長): 斜里町国保病院は令和7年度に入院・外来を合わせた収益が約1億円減り、令和8年度予算案は収支差1億3,874万5,000円の赤字でスタートすると説明した。資金残高は令和7年度当初の2億8,222万1,000円から5,500万円ほどに減る見込みとした。一般会計からの繰入金は5億5,000万円の上限を設けて積算しており、常勤医2名体制のもとで非常勤医師を減らす方向で予算を組んだと答弁した。議員は収益減の穴埋め策をただし、借り入れや留保資金の取り崩しにも限界があると指摘した。
背景
公立病院は、医師・看護師の不足や人口減少に伴う医療需要の変化を受け、経営環境が全国的に厳しさを増している。総務省は2022年3月に「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」を示し、各病院に令和9年度までを対象とする経営強化プランの策定を求めた。プランは機能分化・連携強化や医師確保、経営形態の見直しなどを柱とするが、赤字の穴埋めは一般会計からの繰入金に依存し、繰入金の増大は自治体本体の財政も圧迫する。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で公立病院と赤字・繰入金・経営改善・再編・存続のいずれかに言及した議会関連の記録が237自治体で確認されている。
出典:
- 岩手県議会 2026年2月25日 定例会 本会議(動画: https://www.youtube.com/watch?v=KuEeYXPqvX8&t=2436s / 該当箇所 40:36頃〜)
- 兵庫県議会 2026年2月16日 健康福祉常任委員会(動画: https://www.youtube.com/watch?v=b_f6KbeoDr8&t=160s / 該当箇所 2:56頃〜、53:33頃〜)
- 斜里町議会 2026年2月26日 産業構成常任委員会(動画: https://www.youtube.com/watch?v=qGvn8aryZt8&t=331s / 該当箇所 5:31頃〜、40:47頃〜)
- 総務省「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000271.html)
- 当社データベース集計: 2025年7月以降の議会関連記録を対象に、公立病院・病院事業・県立/市立/町立/市民/国保病院のいずれかと、赤字・繰入・経営改善・再編・存続・病床削減・経営健全化のいずれかに言及した記録を集計(237自治体)
記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。