AI-OCR・RPAの「達成報告」から生成AIへ——基幹システム標準化と重なる自治体DXの現在地

関連自治体: 静岡県磐田市 / 熊本県菊池市 / 埼玉県久喜市

静岡県磐田市は2026年2月26日の市議会本会議で、AI-OCRとRPAによる業務時間の削減が令和6年度末で2458時間となり、令和7年度末の目標を前倒しで達成したと市長答弁で明らかにした。削減効果を「達成報告」として示す自治体が現れる一方、次の投資先を全職員への生成AI環境や人材育成に移す動きが、基幹業務システムの標準化移行と同じ時期に相次いでいる。

各市の表明

  • 静岡県磐田市(2026年2月26日・本会議・市長): AI-OCRとRPAによる業務時間の削減効果が令和6年度末で2458時間となり、令和7年度末の目標である2000時間を達成したと答弁した。DX推進実施計画の全20目標のうちすでに6つが目標値に達し、おおむね順調と評価する一方、大量の紙文書のデータ化や職員のデジタルスキル向上を課題に挙げた。全職員がパソコンで生成AIを利用できる環境を整備済みで、子育て分野のAIチャットボットや行政計画の策定を支援する生成AIの開発を、民間企業との連携による実証実験で進めるとした。基幹業務システムの標準化は、令和4年度からの総事業費がおおむね10億2千万円になるとも述べた。
  • 熊本県菊池市(2025年12月4日・本会議・政策企画部長): 令和5年度から令和7年度にかけて電子決裁システムやAI-OCR等を全庁的に導入したと答弁した。本年度はAIチャットボットを来年2月に稼働させる予定で、RPAなどの技術習得を目的に職員10名へ研修を行い、人材育成を進めるとした。課題として、RPA構築や高度なオンラインフォーム作成が技術を持つ職員に依存しておりノウハウの継承が必要な点と、システムの維持管理に係るランニングコストの増大を挙げた。
  • 埼玉県久喜市(2026年2月8日・本会議・市長): 令和2年12月に国の自治体DX推進計画が示されたことを受け、令和3年4月にデジタル戦略室を設置したと施政方針への代表質問で答弁した。新たに生成AIシステムを導入し、職員が政策立案や相談業務に注力できる環境を整えるとした。マイナンバーカードは令和9年度に更新手続きの対象者がピークを迎え、令和7年度と比べ約2倍の来庁者が見込まれるとして、郵便局への申請支援業務の委託と本庁舎1階への特設窓口の開設を決めた。

背景

政府はデジタル手続法などに基づき、住民記録・税・福祉など20の基幹業務システムを国の標準仕様へ統一し、ガバメントクラウド上で共通化する標準化を進めている。全自治体の移行期限は当初2025年度末(2026年3月)に設定され、多くの自治体で移行作業がこの時期に集中した(デジタル庁)。3市の答弁はいずれも、標準化の移行と並行して、AI-OCRやRPAの導入効果を確認し、次の重点を全職員への生成AI環境や人材育成へ移す段階にあることを示している。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「生成AI」と「業務効率化」の両方に言及した議会関連の記録が318自治体で確認されている。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。