介護現場のDX支援、県が前に出る——補助率3/4への引き上げ・伴走支援で二極化に対応
関連自治体: 山形県 / 愛媛県 / 福井県小浜市
山形県は2025年12月10日の県議会委員会で、介護テクノロジー導入を支援する県補助金の補助率を令和6年度に1/2から3/4へ引き上げ、導入を加速していると社会健康福祉部長が答弁した。大規模施設と小規模事業所のあいだで進む介護DXの二極化を背景に、都道府県が補助率の引き上げと事業所ごとの伴走支援で前面に立つ動きが相次いでいる。
各自治体の表明
- 山形県(2025年12月10日・県議会委員会・社会健康福祉部長): 令和6年度に介護テクノロジー導入を支援する県補助金の補助率を1/2から3/4へ引き上げ、その結果、32法人・37事業所で介護テクノロジーが導入されたと答弁した。見守り型機器の導入により職員の巡回回数が導入前の3分の1程度に減少し、夜間勤務の負担が軽減された事例を挙げた。介護生産性向上総合支援センターによる伴走支援はこれまで大規模施設が中心だったとして、今後は小規模の訪問介護・通所介護事業所にも伴走支援を広げ、成功事例の横展開を進めるとした。
- 愛媛県(2026年3月6日・県議会・保健福祉部長): 地域や事業所の規模を問わず介護サービス提供体制を維持するため、県介護生産性向上総合相談センターを通じて専門家を事業所に派遣し、事業所ごとの実情に応じた伴走支援を行っていると答弁した。先進的なICT機器導入支援の拡充と、訪問介護事業所の経営安定化に向けた取り組みを支援する経費を2月補正予算案に計上したと述べた。あわせて処遇改善支援で介護人材の確保・定着に努めるとした。
- 福井県小浜市(2026年3月17日・市議会一般質問・市担当課長): 福井県が令和6年度に実施した介護従事者実態調査で、市内35事業所のうちICTを「導入している、または導入する予定」と答えた事業所が21、介護ロボットを同様に答えた事業所が10だったと答弁した。いずれも一定程度導入が進んでいるとしつつ、導入コストの高さを理由に導入に至っていない事業所もあるとの認識を示した。記録業務の電子化や見守りセンサーの導入がDX推進に不可欠だと述べた。
背景
介護テクノロジーの導入を後押しする国の枠組みは、地域医療介護総合確保基金を財源とする「介護テクノロジー導入支援事業」で、令和8年度は要件を満たす場合の補助率が最大3/4に設定されている(厚生労働省)。補助を受けるには、生産性向上ガイドライン等を参考にした業務改善計画の提出や、第三者による業務改善支援・研修等を受けることが要件となり、機器の購入だけでなく現場での定着まで含めた取り組みが求められる。山形県の議会では、機器を導入しても職員が使いこなせず活用されない実態が議員から指摘され、教育・研修を含めた定着支援の必要性が論点になった。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「介護」と「生産性向上」の両方に言及した議会関連記録が182自治体で確認されている。
出典:
- 山形県議会 2025年12月10日 委員会(議会中継の字幕データより・該当箇所 55:54頃〜)
- 愛媛県議会 2026年3月6日 定例会(議会中継の字幕データより・該当箇所 38:35頃〜)
- 小浜市議会 2026年3月17日 定例会 本会議一般質問(動画: https://obama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=691 / 該当箇所 17:51頃〜)
- 厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001476528.pdf)
記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。