ひきこもり相談、増加に体制追いつかず——鳩山町は5年で4.5倍、安城市は「39歳の壁」

関連自治体: 埼玉県鳩山町 / 愛知県安城市 / 石川県志賀町

埼玉県鳩山町は2026年3月の町議会定例会で、ひきこもりなどの相談を受け付ける総合相談支援窓口の相談件数が令和2年度の118件から令和6年度は534件へと4.5倍に増えた一方、当事者の状況は「把握できている状況ではない」と答弁した。相談が増え続けても実態把握や支援体制が追いつかない状態は、愛知県安城市や石川県志賀町の議会でも同時期に報告されている。

各市の表明

  • 埼玉県鳩山町(2026年3月定例会・本会議一般質問・担当課長): 総合相談支援窓口が受けた引きこもり・ニート・不登校などの相談は、延べ件数で令和2年度118件、令和3年度94件、令和4年度332件、令和5年度465件、令和6年度534件と推移し、令和7年度も令和8年1月までで336件に上る。相談は40代・50代が多いものの、年齢層は集計できていないとした。厚生労働省が2025年1月に作成した引きこもり支援ハンドブックを活用した支援者向け研修の実施状況を議員が質し、町側は当事者を把握できていないとして、多様な居場所づくりや行政・民間企業・NPOとの連携強化が必要と答弁した。
  • 愛知県安城市(2026年3月定例会・本会議一般質問・担当部長): 若者向け相談窓口「アンサポ」の昨年度の相談者は118人で、不登校・引きこもり・就労に関する相談が上位を占め、引きこもりに関する相談が全体の約25%だった。対象は15歳から39歳で、対象年齢外や年齢が確認できない相談者が19人いた。中年層の引きこもりへの対応を問われ、担当部長は40歳以上など対象年齢外の相談も内容を聞いたうえで適切な支援機関へ紹介すると答弁した。相談は来所のほか電話・メール・LINEでも受け付けているとした。
  • 石川県志賀町(2025年12月16日・令和7年第4回定例会・本会議・議員): 「引きこもり基本法の制定を求める意見書」を全会一致で可決した。長期化・高年齢化が進んで8050問題が深刻化し、福祉制度を組み合わせた支援を実施しているものの、原因が多様かつ複合的なため制度の狭間で適切な支援を受けられない事例が少なくないとして、地方自治法第99条に基づき国へ意見書を提出するとした。

背景

厚生労働省は、ひきこもりの相談窓口となるひきこもり地域支援センターを2018年度までに全都道府県・指定都市に設置し、2022年度からは住民に身近な市町村への設置を進めている(厚生労働省)。就労を最終目標とせず、本人や家族が自らの生き方を選べるようになることを支援の目的に掲げるが、40代・50代が中心の相談に対し、窓口の対象年齢や支援者の育成、居場所づくりが追いつかない状況が各地で表れている。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「ひきこもり」または「8050」と相談・居場所・実態把握・支援体制・相談員・窓口のいずれかに言及した議会関連の記録が15自治体で確認されている。


出典:

  • 鳩山町議会 2026年3月定例会 本会議一般質問(会議録の字幕データより・該当箇所 14:47頃〜)
  • 安城市議会 2026年3月定例会 本会議一般質問(会議録の字幕データより・該当箇所 51:12頃〜)
  • 志賀町議会 2025年12月16日 令和7年第4回定例会 本会議(動画: https://www.youtube.com/watch?v=JYYNHShToec / 該当箇所 47:50頃〜)
  • 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html
  • 当社データベース集計: 2025年7月以降の議会関連記録を対象に「ひきこもり/引きこもり/8050」と「相談/居場所/実態把握/支援体制/アウトリーチ/相談員/窓口/把握」のいずれかに言及した記録を集計(15自治体)

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。