重層的支援体制整備、3市で進捗と実務課題
関連自治体: 愛知県刈谷市 / 兵庫県川西市 / 千葉県袖ケ浦市
兵庫県川西市は2026年6月16日の市議会本会議で、令和6年度に始めた重層的支援体制整備事業の実施状況を示し、多機関協働の中核となる「川西丸ごと支援会議」の開催が0件だったと福祉部長答弁で明らかにした。制度の狭間にある複合課題へ分野横断で対応するこの事業をめぐり、開始2年目の運用実態や体制づくりの課題が各地の議会で相次いで示されている。
各市の表明
- 兵庫県川西市(2026年6月16日・本会議・福祉部長): 第6期地域福祉計画の重点施策として、令和6年度から重層的支援体制整備事業を始めたと答弁した。実施状況として、社会福祉法第106条の6に基づく川西支援会議の開催は5件だったが、多機関協働で支援方針を定める「川西丸ごと支援会議」の開催は0件で、同会議を経て作成する支援プランの作成にも至っていないと述べた。川西支援会議を通じて関係機関の連携は強化できたとした。
- 千葉県袖ケ浦市(2026年6月18日・本会議・市長): 重層的支援体制整備事業として、属性を問わない包括的相談支援、多機関協働、アウトリーチを通じた継続的支援を一体的に実施しており、相談件数は増加傾向にあると答弁した。課題として、長年の引きこもりや認知症などで自ら相談することが難しい人の状況把握が困難で、相談窓口の利用につながりにくいことを挙げた。分野をまたぐ複雑な事例には、特定の職員をマネージャーとして据えるのではなく、関係する課の職員が同じ目線で解決に取り組む方針を示した。
- 愛知県刈谷市(2026年6月3日・委員会・福祉健康部長): 第5次地域福祉計画に重層的支援体制整備事業の導入を位置づけてきたと答弁した。国の制度見直しや予算縮減の報道で自治体に戸惑いもあるとしたうえで、国の動向と市の実情に応じた包括的支援体制の整備を推進すると述べた。市の関係課職員と社会福祉協議会の職員によるプロジェクトチームを立ち上げ、包括的な支援体制の枠組みを検討するとした。同市は令和3年から調査研究を進めてきたとしている。
背景
重層的支援体制整備事業は、2020年6月の社会福祉法改正で創設され、2021年4月に施行された。市町村が手を挙げて実施する任意事業で、属性を問わない相談支援(多機関協働、アウトリーチを含む)、参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に行う。高齢の親と中高年の子が同居する8050問題や、育児と介護が重なるダブルケアなど、従来の高齢・障害・子ども・生活困窮といった分野別の支援では対応しきれない複合課題を、世帯全体を丸ごと支える体制へ転換することを目的とする(厚生労働省)。制度は任意事業のため、導入の判断や会議体の運用実態は自治体ごとに差が出やすい。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「重層的支援」と「体制」の両方に言及した議会関連の記録が321自治体で確認されている。
出典:
- 川西市議会 2026年6月16日 定例会 本会議(議会中継の字幕データより・該当箇所 2:04:35頃〜)
- 袖ケ浦市議会 2026年6月18日 定例会 本会議(議会中継の字幕データより・該当箇所 7:25頃〜)
- 刈谷市議会 2026年6月3日 定例会 委員会(議会中継の字幕データより・該当箇所 19:34頃〜)
- 厚生労働省「改正社会福祉法における重層的支援体制整備事業の創設について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000752732.pdf)
記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。