カスハラ対策、義務化前に自治体で段階差

関連自治体: 福岡県福岡市 / 山梨県甲斐市 / 徳島県小松島市

福岡市は2026年3月25日の市議会条例予算特別委員会で、2026年度からカスタマーハラスメント対策業務を人事部に集約し、職員が直接相談できる窓口を新設すると、総務企画局長が表明した。カスタマーハラスメント対策を全事業主に義務付ける改正労働施策総合推進法の施行(2026年10月1日)を前に、自治体の対応は実態調査から方針策定、機器整備まで段階差が出ている。

各市の表明

  • 福岡県福岡市(2026年3月25日・条例予算特別委員会・総務企画局長): 2025年9月の全職員実態調査で、約5人に1人にあたる19.5%が2024年度にカスタマーハラスメントを受けたと回答したと答弁した。2026年度から人事部への業務集約と直接相談窓口の設置に加え、東・博多・南の3区への警察OB配置、通話記録のガイダンス機能の試行導入を進める。教育長は、5,528万円余の予算で2026年9月をめどに全市立学校へ通話録音を導入すると答弁した。
  • 山梨県甲斐市(2026年3月2日・本会議一般質問・市長): 法改正を踏まえ「甲斐市職員カスタマーハラスメント対策基本方針」と対応マニュアルを策定したと答弁した。2025年7月の職員アンケート(回答524人・回答率61.5%)では、50%が過去5年間にカスタマーハラスメントに相当すると考えられる行為を受けたと回答。部門別では福祉関係26%、窓口事務16%、税務13%の順だった。
  • 徳島県小松島市(2025年12月8日・本会議一般質問・総務部長): カスタマーハラスメントに特化した相談体制や対応方針は未整備と答弁した。国の指針を踏まえた対応マニュアル整備を検討し、名札は名字のみの表記へ2026年4月からの適用を目指して見直しを進める。総務省が2025年4月に公表した職員アンケート調査では、過去3年間に被害を受けた自治体職員は35%と紹介した。

実態調査の数字が対策を後押し

福岡市の実態調査では、内容の最多は頻繁なクレームなど「継続的・執拗な言動」の28.1%で、威圧的な言動24.9%、精神的な攻撃21.5%が続いた。1回あたりの対応時間は1時間以上2時間未満が28.9%を占めた。学校現場では約7人に1人が2024年度に被害を受けたと教育長が答弁した。

甲斐市の総務部長は、基本方針に市の責務として方針等の明確化・周知啓発、相談体制の整備など3項目を規定したと説明した。小松島市の総務部長は、県内でも半数近くの市町が名札をフルネームから名字のみに見直していると述べた。

背景

2025年6月11日公布の改正労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメント対策は2026年10月1日から自治体を含む全事業主の義務になる(厚生労働省)。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「カスタマーハラスメント」または「カスハラ」に言及した議会関連記録が232自治体で確認されている。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。