人事評価、昇給に反映できず——鈴鹿市は勤勉手当の減額のみ、評価者のばらつきが壁
関連自治体: 三重県鈴鹿市 / 栃木県小山市 / 福岡県宮若市 / 熊本県玉名市
三重県鈴鹿市は2026年6月15日の市議会6月定例議会一般質問で、人事評価の結果を昇給や昇格に反映しておらず、勤勉手当の減額に限定して運用していると答弁した。理由として評価者によって評価が甘くなったり厳しくなったりするばらつきを挙げ、「本市に限らず、多くの自治体においても共通の課題」とした。地方公務員法の改正で人事評価が義務づけられて10年目に入るが、結果を処遇につなぐ段階で止まっている自治体がある。
各市の表明
- 三重県鈴鹿市(2026年6月15日・6月定例議会一般質問・市): 人事評価制度は平成19年度後期に管理職員を対象として試行を開始し、平成26年の地方公務員法改正を受けて平成28年度から全ての正規職員を対象に本格導入した。半期ごとに実績評価・態度評価・能力評価の3項目で評価し、課長を一次評価者、部長を二次評価者とする2段階評価を行っている。令和5年度からは評価者ミーティングも実施している。処遇面では勤勉手当に反映しており、管理職は令和3年12月支給分から、一般職員は令和4年6月支給分から適用している。ただし反映は下位の評価となった職員の勤勉手当を減額することに限定しており、昇給や昇格への反映は行っていない。評価結果を分析すると、標準的に業務を遂行した場合の評価を60点としているのに対し、およそ33%の職員が100点満点中62点以上の評価を受けており、高い評価を付与する評価者に偏りが見受けられるとした。評価のばらつきが解消されないまま給与面への反映を拡大すれば「かえって不公平感を生じさせる恐れ」があるとし、まずは評価者へのマネジメント研修と評価者ミーティングでばらつきの是正に努めるとした。そのうえで、今後は勤勉手当の減額反映に加えて上位評価者への増額反映や昇給等への反映についても関係機関と調整を図りながら進めるとし、与えられた時間内で効率的に業務を終える職員を高く評価できる仕組みも検討するとした。
- 栃木県小山市(2026年6月8日・第2回定例会会派代表質問・総務部長): 現制度では職員数の多い職場で評価に多くの時間を要するなど負担感が生じているとし、評価者の負担軽減や事務処理の効率化が期待できる新たな人事管理システムの導入と合わせて人事評価制度の改正作業を進めており、令和9年4月の施行を予定していると答弁した。あわせて、休業・休職中の職員の業務を代わりに担う組織貢献度の高い職員について、人事評価制度において加点できる仕組みの導入等を検討するとした。
- 福岡県宮若市(2026年6月22日・予算審査特別委員会総務分科会・総務課長): 令和8年度から新たに導入する人事評価システムについて、システム管理委託料121万5千円を計上したと説明した。
- 熊本県玉名市(2026年6月16日・第2回定例会一般質問・市): 管理職の登用にあたっては男女の区別なく能力と意欲を有することを基本とし、職務経験、必要な職位経験年数、人事評価結果などを総合的に考慮して判断していると答弁した。男女共同参画計画および特定事業主行動計画で女性管理職登用率15%以上という目標を設定しているが、令和7年度実績は7.4%だった。
背景
4市の答弁は、制度の同じ場所で詰まっていることを示している。鈴鹿市が挙げた評価者間のばらつきと、小山市が挙げた評価にかかる時間の負担は、どちらも評価する側の問題である。宮若市と小山市がシステムの導入・刷新を進めるのは、この負担を機械側で引き取ろうとする動きにあたる。
一方、玉名市の答弁は、人事評価が単独の制度ではなく登用の判断材料として使われていることを示す。目標15%に対して実績7.4%という差は、評価結果をどう使うかという論点と地続きになる。
総務省が地方公務員法改正の説明会で示した資料では、改正前の平成24年度時点で、国の人事評価制度と同様に能力評価および業績評価を行っていた市区町村は1,722団体中563団体、実施率32.7%だった。改正によって全団体で実施することになったが、鈴鹿市の答弁は、実施したうえで結果を処遇に反映させる段階に別の壁があることを示している。
当社データベースでは、過去1年(2025年8月以降のデータ)で「人事評価」または「勤務評定」に言及した議会答弁関連の記録が246自治体で確認されている。
出典:
- 鈴鹿市議会 令和8年6月定例議会(第2日目6月15日)一般質問(動画: https://www.youtube.com/watch?v=huV3Z6KeAzM / 該当箇所 0:01頃〜、17:49頃〜、28:23頃〜)
- 小山市議会 令和8年第2回定例会 令和8年6月8日 本会議 会派代表質問(動画: https://oyama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=812 / 該当箇所 39:59頃〜)
- 宮若市議会 令和8年6月22日 予算審査特別委員会 総務分科会(動画: https://miyawaka-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=807 / 該当箇所 11:36頃〜)
- 玉名市議会 令和8年第2回定例会 令和8年6月16日 本会議 一般質問(動画: https://tamana-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=848 / 該当箇所 2:30頃〜)
- 総務省自治行政局公務員部給与能率推進室「地方公共団体における人事評価制度の導入等について」(平成26年6月9日「地方公務員法等の一部を改正する法律に関する説明会」資料5・平成24年度の実施率)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000295843.pdf)
- 当社データベース集計: 2025年8月以降の議会答弁関連記録を対象に「人事評価」「勤務評定」のいずれかに言及した記録を集計(246自治体・534件)
記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。