自治体の人事評価とは——地方公務員法による義務化と、能力評価・業績評価の二本立て

自治体の人事評価は、地方公務員法にもとづき全ての自治体で実施が義務づけられている制度である。根拠は平成26年に成立した地方公務員法等の一部を改正する法律(平成26年法律第34号)で、平成28年4月1日から施行された。それまでの「勤務評定」に代わるもので、能力評価と業績評価の二本立てで行い、任用・給与・分限その他の人事管理の基礎として活用することが法律上明確にされた。

定義と条文上の位置づけ

人事評価の定義は、任命権者の権限を定めた地方公務員法第6条第1項の中に置かれている。任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力および挙げた業績を把握したうえで行われる勤務成績の評価をいう。

実施のしかたは2つの条文で定められている。人事評価は公正に行われなければならず(第23条第1項)、任命権者は職員の人事評価を定期的に行わなければならない(第23条の2第1項)。そのうえで、任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するものとされている(第23条第2項)。

能力評価と業績評価

評価は2つの側面から行う。

  • 能力評価——職員の職務上の行動等を通じて顕在化した能力を把握する。項目の例として、企画立案、専門知識、協調性、判断力などが挙げられている。
  • 業績評価——職員が果たすべき職務をどの程度達成したかを把握する。国の例では、具体的な業務の目標・課題を期首に設定し、期末にその達成度を評価する。

総務省は、制度の基本的な仕組みとして次の5点を示している。①能力評価および業績評価の二本立てで実施すること、②評価項目・基準・実施方法等を明示すること、③各評価者への研修等の評価者訓練を行うこと、④被評価者による自己申告と、目標設定やフィードバックのための面談、結果の開示を行うこと、⑤評価に関する苦情に対応する仕組みを整備すること。

旧「勤務評定」との違い

改正前の地方公務員法第40条は、任命権者が職員の執務について定期的に勤務成績の評定を行い、その結果に応じた措置を講じなければならないと定めていた。この勤務評定については、評価項目が不明瞭であらかじめ明示されていない、上司から一方的に評価されるのみで評価結果が部下に知らされない、人事管理に十分活用されていない、といった問題が指摘されていた(人事評価研究会報告書・平成12年5月31日)。

人事評価は、職員の執務の状況を把握・記録するという性格は勤務評定と同じだが、定義と位置づけを明確化し、評価基準の明示や評価結果の本人への開示といった仕組みを想定することで、能力・実績主義を実現するための手段として客観性・透明性を高めるものとされている。

評価結果は何に使われるか

国家公務員の枠組みでは、評価結果の活用先が具体的に定められている。昇任は昇任日以前2年の能力評価と直近の業績評価、昇格(昇任を伴わない場合)は昇格日以前2年の能力評価および業績評価、昇給は昇給日以前における直近の能力評価と直近の連続する2回の業績評価を活用する。勤勉手当は基準日(6月1日・12月1日)以前における直近の業績評価を用いる。免職・降任・降格・降号は、能力評価または業績評価の全体評語が最下位となった場合を処分の契機として活用する。人材育成では、能力評価の項目や評価結果を研修の開発・実施や職員の自発的能力開発に活用する。

自治体はこれと同じ枠組みを採らなければならないわけではない。どこまで処遇に反映するかは各団体の判断に委ねられており、実際には勤勉手当への反映にとどめ、昇給や昇格には反映していない団体もある。

義務化前は3分の1だった

総務省が改正法の説明会で示した資料によれば、改正前の平成24年度時点で、国の人事評価制度と同様に能力評価および業績評価(目標管理)を行っていた団体は、都道府県が47団体中37団体(78.7%)、指定都市が20団体中19団体(95.0%)だったのに対し、市区町村は1,722団体中563団体で32.7%にとどまっていた。合計では1,789団体中619団体、34.6%である。改正によって全団体で実施することとなったが、規模の小さい団体ほど改正後に一から仕組みを作る必要があった。

当社データベースでは、過去1年(2025年8月以降のデータ)で「人事評価」または「勤務評定」に言及した議会答弁関連の記録が246自治体で確認されている。


出典:

  • 総務省自治行政局公務員部給与能率推進室「地方公共団体における人事評価制度の導入等について」(平成26年6月9日「地方公務員法等の一部を改正する法律に関する説明会」資料5)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000295843.pdf
  • 当社データベース集計: 2025年8月以降の議会答弁関連記録を対象に「人事評価」「勤務評定」のいずれかに言及した記録を集計(246自治体・534件)