下水道の更新財源足りず——値上げ諮問・ウォーターPPPでもめど立たず
関連自治体: 岩手県滝沢市 / 福岡県飯塚市 / 神奈川県小田原市
岩手県滝沢市は2026年2月3日の市議会一般質問で、下水道使用料の改定を上下水道事業経営審議会に諮問し、審議中だと明らかにした。老朽化した管路の更新や道路陥没対策に財源が追いつかず、使用料の値上げや官民連携(ウォーターPPP)で更新費を賄おうとする自治体が相次いでいる。負担増や体制づくりのめどは立っていない。
各市の表明
- 岩手県滝沢市(2026年2月3日・本会議一般質問・上下水道部長): 公共下水道の管路は約218kmで、5年に1回、目視や管口カメラで点検している。管を腐食させる硫化水素の対策として、影響が高い箇所を優先したスクリーニング調査を検討する。下水道は上水道の3〜4倍のライフサイクルコストがかかる一方、使用料収入が見合わず、物価上昇で経営が厳しいとして、今年度に下水道使用料の改定を経営審議会へ諮問したと答弁した。北上川流域下水道の維持管理負担金の増加も見込むとした。
- 福岡県飯塚市(2026年1月26日・令和8年第1回臨時会・企業管理課長ほか): 上下水道事業経営審議会に水道と下水道の使用料改定を諮問し、下水道は今後32年間で約38億円の内部留保が必要として、5年ごとに6回、初回10%引き上げる案がおおむね了承されたと説明した。汚水管改築の国庫補助を受けるにはウォーターPPPの導入が必須になるとして、下水道PPP導入支援業務委託料を計上し、令和10年度の施行を目指すとした。議員は使用料審議会にウォーターPPPを諮っていない点を問題視した。
- 神奈川県小田原市(2026年1月26日・建設経済常任委員会・下水道整備課長): 下水道の経営戦略を改定した。令和4年度から導入している管路の包括的維持管理業務を、令和9年度以降は下水道管理センターや中継ポンプ場などの施設も加えた5年間の包括委託へ拡大する方針を示した。事業計画区域のうち整備済みは2,570.5ヘクタールで、未普及地域は下水道が普及するまで浄化槽で対応する考えは変えないとした。
背景
下水道事業は、汚水処理にかかる経費を使用料でどれだけ賄えているかを示す経費回収率が課題で、総務省によると多くの事業で汚水処理原価が使用料単価を上回る「原価割れ」が続く。国土交通省は2025年4月に「下水道分野におけるウォーターPPPガイドライン」を第2.0版へ改定し、汚水管改築への国費支援について、令和9年度以降はウォーターPPP(管理・更新一体マネジメント方式)の導入を決定済みであることを要件化した。人口減少と節水で使用料収入の増加が見込めない一方、老朽管路の更新と道路陥没対策の需要は膨らむ。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「下水道」と「老朽化」または「管路」の両方に言及した議会答弁関連の記録が768自治体で確認されている。
出典:
- 滝沢市議会 令和8年2月会議 2026年2月3日 一般質問(動画: https://www.youtube.com/watch?v=YUmEvqLPN84 / 該当箇所 12:51頃〜、43:00頃〜)
- 飯塚市議会 令和8年第1回臨時会 2026年1月26日(動画: https://www.youtube.com/watch?v=5RDc1fqeeOQ / 該当箇所 51:44頃〜、1:18:42頃〜)
- 小田原市議会 建設経済常任委員会 2026年1月26日(動画: https://www.youtube.com/watch?v=rbD-wGd6M40 / 該当箇所 30:00頃〜、32:50頃〜)
- 国土交通省「上下水道:官民連携(PPP/PFI)の活用」(https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000585.html)
- 総務省「地方公営企業等|公営企業の経営」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/kouei_ryui.html)
- 当社データベース集計: 2025年7月以降の議会関連記録を対象に「下水道」と「老朽化」または「管路」の両方に言及した記録を集計(768自治体)
記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。