ウォーターPPPとは——汚水管の改築が2027年度から交付要件に、レベル3.5の4要件
ウォーターPPPは、水道・工業用水道・下水道の分野で、コンセッション方式(公共施設等運営事業)と、そこへ段階的に移行するための「管理・更新一体マネジメント方式」をあわせた官民連携の枠組みである。国土交通省は、PPP/PFI推進アクションプラン期間の10年間(令和4年度から令和13年度)で導入拡大を図るとしている。汚水管の改築については、令和9年度以降、この導入を決定済みであることが国費支援の要件になる。
「レベル3.5」とは何か
管理・更新一体マネジメント方式は、包括的民間委託のレベル1から3(複数年度・複数業務による民間委託)と、コンセッション方式(レベル4)の中間に位置づけられ、「レベル3.5」と呼ばれる。更新(改築)に関係する業務範囲が設定され資本的支出を含む点でレベル3より上、運営権の設定を伴わない点でレベル4より下という整理である。
国土交通省は、この方式の要件として次の4点を示している。
- 長期契約——契約期間は、企業の参画意欲、自治体の取り組みやすさ、スケールメリット、投資効果の発現、雇用の安定、人材育成等を総合的に勘案し、原則10年とする。
- 性能発注——性能発注を原則とする。ただし管路については、移行措置として仕様発注から開始し、詳細調査や更新等を実施した箇所から段階的に性能発注へ移行することも可能とされている。
- 維持管理と更新の一体マネジメント——維持管理と更新を一体的に実施する「更新実施型」と、更新計画案の策定やコンストラクションマネジメント(CM)により自治体の更新を支援する「更新支援型」を基本とする。
- プロフィットシェア——事業開始後もライフサイクルコスト縮減の提案を促すため、縮減分を官民で分け合う仕組みを導入する。更新支援型の場合は可能な範囲で採用する。
コンセッション方式との違い
長期契約・性能発注・維持管理と更新の一体マネジメントという3点は、コンセッション方式と共通する。異なるのは、事業期間の設定(原則の有無)、公共施設等運営権の設定の有無、利用料金の直接収受の有無の3点である。運営権を設定しないため、そのための議会の議決を要しない点が実務上の差になる。料金・使用料は自治体が収受し、条例で定める。
対象施設については、管路を含むことを前提としたうえで下水道施設全体を対象とし、民間企業の参画意向等を踏まえて具体的な対象施設を決定するとされている。導入可能性調査(FS)やマーケットサウンディングの段階から管路を含めることが前提であり、対象施設の考え方を下水道管理者側で客観的に説明できることが重要だとしている。
令和9年度からの交付要件化
社会資本整備総合交付金交付要綱の「交付対象事業の要件」に、汚水管の改築に関する規定が追加されている。自治体が汚水管の改築を実施する場合、令和9年度以降については、ウォーターPPPの導入を決定済みである場合のみが交付の対象となる。除かれるのは、緊急輸送道路・重要物流道路の下に埋設されている管路の耐震化のみである。
つまり、2027年度以降に汚水管の改築で交付金を受けようとする自治体は、それまでに導入を決めておく必要がある。導入可能性調査、マーケットサウンディング、事業者選定という手順を踏むことを考えると、検討の着手時期そのものが論点になる。実際、下水道の更新財源をめぐる議会質疑では、料金改定の検討とあわせてウォーターPPPへの対応が問われる場面が増えている。
当社データベースでは、過去1年(2025年8月以降のデータ)で「ウォーターPPP」または「管理・更新一体マネジメント」に言及した議会答弁関連の記録が152自治体で確認されている。
出典:
- 国土交通省 水管理・国土保全局下水道部「ウォーターPPPについて」(令和5年6月・第33回下水道における新たなPPP/PFI事業の促進に向けた検討会 資料2)(https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001617674.pdf)
- 国土交通省「管理・更新一体マネジメント方式(レベル3.5)の考え方」(https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001617902.pdf)
- 当社データベース集計: 2025年8月以降の議会答弁関連記録を対象に「ウォーターPPP」「管理・更新一体マネジメント」のいずれかに言及した記録を集計(152自治体・551件)