指定管理者、応募が集まらない——新庄市は10施設の9割が同一団体、物価高で指定管理料の増額続く

関連自治体: 山形県新庄市 / 岐阜県関市 / 静岡県島田市 / 青森県五所川原市

山形県新庄市は2026年6月3日の市議会6月定例会一般質問で、指定管理者制度を導入している10施設のうち1施設を除くすべてで前回と同じ団体に委託しており、その割合は9割だと市長が答弁した。現行の指定管理者以外に応募がなかった原因については、人件費や物価の高騰による利益率の低下と、担い手となる市民活動団体の減少を挙げた。制度の運用は、選ぶ側の競争性ではなく、受ける側が続けられるかどうかに論点が移りつつある。

各市の表明

  • 山形県新庄市(2026年6月3日・6月定例会一般質問・市長): 指定管理者制度を導入している施設は10施設で、1施設を除くすべての施設において前回と同じ団体に委託しており、全体に対する割合は9割である。現行の指定管理者以外に応募がなかった原因について、「全国的にも人件費や物価の高騰による利益率の低下、担い手となる市民活動団体の減少などにより、応募が減少している傾向にある」とし、市としては適正な指定管理料の算定や公募を広く行うことで対応を検討していくと答弁した。同一事業者が続くことについては、新しい提案や魅力的な自主事業がなされなくなる懸念がある一方、ノウハウの蓄積や施設運営、雇用の安定といった効果もあると捉えているとした。
  • 岐阜県関市(2026年6月16日・一般質問・市): 温泉2施設の指定管理料が令和4年から令和6年にかけて増額された理由は、主に燃料費の高騰と赤字の補填によるものだと答弁した。指定管理料は人件費、光熱水費、燃料費、修繕費等の管理運営に必要な経費を評価し、過去の実績を踏まえて決定している。入場者数の実績と指定管理料が逆転している状況は承知しており、設備の違い、特にボイラー設備が多くの燃料費を要することが影響しているとした。収支については、指定管理に係る収支は毎年度の事業報告で確認しているがそれ以外は把握しておらず、「温泉事業が収益事業であるとの認知が甘く、把握してこなかったのが実情」と述べ、今後は収支の把握に努めるとした。
  • 静岡県島田市(2026年6月15日・6月定例会一般質問・市): 市内の公園1施設について、令和8年度の委託料が令和7年度より増額となった理由を問われ、指定管理料としての委託料は指定管理者が策定する事業計画の実行予算において支出に対して不足する収入のバランスを取る形で算出されると説明した。増額は、支出が増加する一方で収入が減少する見込みであるためで、支出増加の要因は植栽管理体制強化のための増員と物価・人件費高騰による経費上昇、収入減少の要因は近年の入園者数実績を踏まえて入園料収入を前回より少なく見込んだことによるとした。
  • 青森県五所川原市(2026年6月2日・第3回定例会一般質問・市): 令和6年度から令和8年度までの指定管理料は、過去3年分の経費平均に加え、物価や人件費の高騰状況を加味して算出していると答弁した。今年度も物価高騰の影響で施設の運営に支障が出ないよう、指定管理者と情報共有を図り対応していくとした。

背景

4市の答弁は、指定管理料の算定方法にそれぞれ触れている。五所川原市の「過去3年分の経費平均+物価・人件費の高騰状況」、島田市の「支出に対して不足する収入のバランスを取る形」、関市の「人件費・光熱水費・燃料費・修繕費等を評価し過去の実績を踏まえて決定」は、いずれも実績を基礎に置く方式である。実績を基礎にする限り、原価の上昇は次の算定まで受託者側が負う。新庄市が挙げた「利益率の低下」は、この構造から生じる。

もう1つ、新庄市では制度運用の別の論点も示された。同市総務課長は、指定管理者が事業継続計画(BCP)を策定しているかは把握していないと答弁したうえで、避難所の開設や施設の開閉など自治体と指定管理者が一体となって取り組む必要があり、今後その捉え方で推進したいとした。指定管理施設が災害時の拠点を兼ねる場合、平時の委託関係とは別の役割分担が問われる。

当社データベースでは、過去1年(2025年8月以降のデータ)で「指定管理」に言及した議会答弁関連の記録が1,081自治体で確認されている。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。