公共施設の改修費、再試算で475億円→701億円——可児市が縮減策の前倒しへ

関連自治体: 岐阜県可児市 / 埼玉県北本市 / 高知県高知市

岐阜県可児市は2026年2月24日の市議会予算決算委員会で、公共施設の個別施設計画の5年目見直しと直近の物価水準による再計算の結果、施設維持に必要な改修工事費の総額が約475億円から約701億円に増加したと財政課が説明した。計画改定を待たず縮減策の検討を早急に進める方針を示した。物価と労務費の高騰が公共施設マネジメントの前提を崩し、計画の作り直しを迫られる自治体が相次いでいる。

各市の表明

  • 岐阜県可児市(2026年2月24日・予算決算委員会・財政課): 令和2年度に策定した個別施設計画の5年目見直しに合わせ、直近の物価水準で各施設のライフサイクルコストを再計算したと説明した。規模の縮小、長寿命化、複合集約による廃止といった縮減策を織り込んでもなお、令和32年度までに施設維持に必要な改修工事費の総額は、見直し前の約475億円から約701億円に増加した。公共施設整備基金の積立額の目安も104億円から194億円に膨らんだ。5年後の令和12年度の全面改定を待たず、建築から60年を迎える施設を中心に縮減方策の検討を早急に進めることを執行部内で確認したと述べた。
  • 埼玉県北本市(2026年3月11日・本会議一般質問・政策推進部長): 平成29年3月に策定した公共施設等総合管理計画で、公共施設の延べ床面積を今後40年間で50%削減する数値目標を定めたと答弁した。計画策定の令和2年度時点で建築後30年以上経過した公共施設は延べ床面積の約6割だったが、現在は約8割に増えたと説明した。資材費や労務費の上昇が著しく、限られた予算の中で計画どおり事業を実施することが困難になっていることも大きな課題だとし、今後も計画を見直しながら施設の統廃合や廃止も含め整備を進めると述べた。
  • 高知県高知市(2026年3月4日・委員会報告・市): 令和7年度末で計画満了を迎える公共施設マネジメント基本計画と総合管理計画の2計画を一本化し、最上位計画に位置づける改定案を報告した。昭和50年代から60年代の施設が多く、全施設を長寿命化すると令和36年度以降に耐用年数の80年が一斉に到来し、莫大な建て替え費用が必要になる。そのため庁舎など一部を除き長寿命化を検討せず、複合化や統廃合を早期に検討する方針を示した。全施設を現在の規模のまま保有し続けた場合、令和36年度までの30年間の将来費用は約6,450億円と試算されるが、市の財政規模から見た負担可能額は2,720億円に収める必要があるとした。

背景

国は2013年11月にインフラ長寿命化基本計画を策定し、老朽化する公共施設の再生をトータルコストの縮減・平準化のもとで進める方針を打ち出した。これを受け、各自治体は2014年に総務省の要請で公共施設等総合管理計画を、2020年度までに施設ごとの個別施設計画を策定した(総務省・内閣官房)。総合管理計画は期間内でも点検・診断の結果を踏まえて随時見直すことが求められており、5年ごとの見直し期を迎えた自治体では、物価と労務費の高騰を反映した再試算で費用見通しが大きく上振れる例が出ている。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「公共施設」と「個別施設計画」の両方に言及した議会関連記録が215自治体で確認されている。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。