農林水産業

農地保全の国交付金、担い手不足で自走にめど立たず——上越市は175ヘクタール協定離脱

関連自治体: 新潟県上越市 / 岩手県滝沢市 / 鹿児島県西之表市

新潟県上越市は2026年3月5日の市議会予算委員会で、農地や水路の保全を支える国の中山間地域等直接支払交付金について、5年契約の途中で175ヘクタール分の農地が協定から外れ、申請が取り下げられたと明らかにした。交付金に頼る地域の活動組織を担い手や役員の高齢化で維持できず、農地保全を自走させるめどが立たない状況は、岩手県滝沢市や鹿児島県西之表市の議会でも報告された。

各市の表明

  • 新潟県上越市(2026年3月5日・市議会予算委員会): 農村振興課長が、中山間地域等活性化対策事業で175ヘクタール分の交付金申請が取り下げられたと答弁した。交付金は5年間を1期間とし、途中でやめると交付金を遡って返還する仕組みのため、「5年間続けられるか、高齢化で心配だ」として、ほかの構成員に迷惑をかけないよう協定から外す事例があると説明した。営農は続けているが協定から離脱するケースだとした。
  • 岩手県滝沢市(2026年3月6日・市議会予算質疑): 農林課長が、多面的機能支払・中山間地域等直接支払・環境保全型農業直接支払の3つからなる日本型直接支払事業について、制度の難しさ、事務の煩雑さ、役員の高齢化、新規に立ち上げる際の構成員の成り手不足が共通の課題だと答弁した。対策は組織との話し合いによる丁寧な説明や、事務を委託できる法人の紹介にとどまると述べた。
  • 鹿児島県西之表市(2026年3月11日・市議会一般質問): 農林水産課長が、多面的機能支払交付金の活動組織が令和元年度の32から令和7年度は33とほぼ横ばいで、この間の新規加入が3組織、脱退が2組織だったと答弁した。脱退の理由を議員が問うたのに対し、役員の高齢化と成り手不足でどの団体も継続が難しくなっているとの認識が示された。

背景

中山間地域等直接支払は2000年度、多面的機能支払は農地・農業用水路の共同維持を支える日本型直接支払として制度化された。いずれも5年間の活動を前提に地域の組織へ交付され、要件を満たさず途中で取り組みをやめると、原則として交付金を認定年度まで遡って返還する仕組みになっている。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「日本型直接支払(多面的機能支払・中山間地域等直接支払など)」と「担い手不足・高齢化」の両方に言及した議会答弁関連の記録が179自治体で確認されている。議会の論点は交付金の存廃ではなく、交付金を受け取る地域の活動組織そのものを誰がどう維持するかに移っている。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。