農林水産業

森林経営管理制度は動いても間伐進まず——伊予市は林業経営体が5年で161→46

関連自治体: 愛媛県伊予市 / 愛知県豊根村 / 佐賀県

愛媛県伊予市は2025年12月4日の市議会一般質問で、市内の人工林6,563ヘクタールのうち放置林がどれだけあるか現時点では把握できていないと明らかにした。手入れが行き届かない森林を市が所有者から預かって間伐する森林経営管理制度は動き始めたものの、間伐の担い手も所有者の情報も足りず、放置林の解消に届いていない状態は愛知県豊根村や佐賀県の議会でも同時期に報告された。

各市の表明

  • 愛媛県伊予市(2025年12月4日・本会議一般質問・産業建設部長): 令和2年度の農林業センサスで市の森林面積は11,488ヘクタール、うち人工林は6,563ヘクタールと答弁した。人工林のうち放置林の割合は把握できておらず、これまで市独自の放置林対策を実施した事例はないと述べた。森林経営管理制度に基づき市が所有者から委託を受けて公的に間伐を進めており、令和6年度末までの森林環境譲与税の配分額は1億5,328万円、基金残高は約6,810万円と説明した。市の林業経営体は平成27年の161から令和2年に46へ5年間で大幅に減り、市独自で従事者を増やすのは困難だとした。
  • 愛知県豊根村(2025年12月・令和7年第4回定例会・産業課長): 森林経営管理制度で村内を10地区に分け、北から所有者の意向調査を進めていると答弁した。調査を行っても施業に入るまで時間が経過し、調査だけで何もしない状況を防ぐため、2〜3年調査したら休止しながら順次進めると説明した。財源は森林環境譲与税を充てる方針で、令和6年度は約7,300万円の歳入があった。架線を張って作業できる人材が減っており、確保と育成が課題だとした。
  • 佐賀県(2026年2月27日・本会議一般質問・農林水産部長): 間伐による荒廃森林の再生に取り組むとともに、令和3年度から佐賀の林業再生プロジェクトを展開し、林業機械の導入支援、分散した森林施業の集約化支援、人づくりのための佐賀林業アカデミーに取り組んできたと答弁した。本議会に提案した「佐賀県豊かな山を未来につなぐ条例」で山の適正な土地取引を促し、担い手の育成につなげるとした。

背景

森林経営管理制度は平成31年4月施行の森林経営管理法に基づき、手入れされない森林の経営管理を市町村が所有者から引き受ける仕組みで、令和元年度から譲与が始まった森林環境譲与税を主な財源とする。制度は意向調査から施業まで複数年を要し、林業に詳しい職員や地域の担い手、境界・所有者の情報が整わない自治体では進みにくい。伊予市の産業建設部長は、相続で相続人を追えず所有者が把握できない森林がある可能性を認めた。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「森林経営管理」と担い手・放置林・所有者不明・間伐のいずれかの両方に言及した議会答弁関連の記録が77自治体で確認されている。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。