農林水産業

防災重点ため池、点検・改修が追いつかず——飯塚市は293施設を2027年度まで調査、岡山市はマップ更新28%

関連自治体: 福岡県飯塚市 / 岡山県岡山市 / 鳥取県鳥取市

福岡県飯塚市は2026年1月26日の市議会臨時会で、決壊すれば人的被害が及ぶおそれのある防災重点農業用ため池293施設の劣化状況評価を、2027年度(令和9年度)までかけてようやく調査し終える計画を明らかにした。点検・診断が数年がかりとなり、その先の改修に届いていない状況は、岡山市や鳥取市の議会でも示された。

各市の表明

  • 福岡県飯塚市(2026年1月26日・令和8年第1回臨時会・農業土木課長): 防災重点農業用ため池の劣化状況評価は293施設が対象で、うち令和7年度に185施設を完了する予定、残りは令和9年度までの完了を目指すと答弁した。地質調査を伴う地震・豪雨体制評価は対象47箇所のうち令和7年度までに33箇所を完了予定で、残る14箇所は令和9年度予算で6箇所を要望するなど順次対応するとした。委託料は体制評価が4,610万2千円、劣化状況評価が2,510万6千円。ため池の水位を下げて調べる必要があるため、稲作に水を使わない10月頃から半年かけて調査すると説明した。
  • 岡山県岡山市(2026年2月25日・本会議一般質問・産業政策担当局長): ため池浸水想定マップの更新は令和4年度に着手したが、令和7年度末時点で更新が必要な679カ所のうち完了は189カ所にとどまると答弁した。完了率は約28%。地域住民を対象としたワークショップで危険性や浸水想定区域、避難場所を説明し、更新したマップを地元町内会に送るなど周知を進めるとした。
  • 鳥取県鳥取市(2026年2月24日・本会議一般質問・市長): 防災重点農業用ため池の地震・豪雨体制の診断は県が実施し、実施率は100%だと答弁した。診断で地震か豪雨のいずれかの対策が必要とされたため池24池について、営農への影響を考慮し地元と調整しながら、堤体の補強や余水吐の改良などの改修工事を順次進めるとした。改修そのものはこれからの段階にある。

背景

防災重点農業用ため池は、決壊すれば周辺の住宅や公共施設に被害を及ぼすおそれがあるとして指定されたもので、全国に約5万4千カ所ある(農林水産省・令和3年7月末時点)。2020年成立のため池工事特措法は、これらの防災工事を令和12年度(2030年度)末までに集中して進める計画としている。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「ため池」と老朽化・改修・耐震・診断など維持管理に関わる語の両方に言及した議会答弁関連の記録が159自治体で確認されている。各市に共通するのは、点検・診断に数年を要し、その先の改修が先送りになっている点である。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。