クーリングシェルターとは——気候変動適応法21条による指定と、開放の義務

クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)は、気候変動適応法第21条にもとづき、市町村長が地域内の施設を指定する制度である。第211回国会で成立した「気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律」(令和5年法律第23号)により新設され、令和5年5月12日に公布、2024年4月1日に全面施行された。あわせて創設された熱中症特別警戒情報が発表された場合、指定された施設は開放しなければならない。

何のために設けられたか

環境省は制度の背景として、熱中症による救急搬送人員が毎年数万人を超え、死亡者数が5年移動平均で1,000人を超える高い水準で推移していることを挙げている。従来も一部の自治体が庁舎・公民館・図書館などを休憩スペースとして開放してきたが、極端な高温の発生時には高齢者等の熱中症リスクが高まるため、冷房設備が整っている場所を地域であらかじめ確保しておくことが必要だとした。

改正法では、熱中症対策実行計画の法定計画への格上げ、熱中症警戒情報の法定化と熱中症特別警戒情報の創設、市町村長による指定暑熱避難施設および熱中症対策普及団体の指定の制度が措置された。

指定の3要件

環境省「指定暑熱避難施設の指定・設置に関する手引き」は、指定にあたって必ず備えるべき最低限の基準を3つ示している。

  1. 適当な冷房設備を有すること(改正適応法第21条第1項第1号)。定期的にメンテナンスされ、施設の実情および規模に応じた適切な機能を有した冷房設備であることとされている。
  2. 熱中症特別警戒情報が発表されたときに、住民その他の者に開放することができること(同項第2号)。
  3. 住民その他の者の滞在のために供すべき部分について、必要かつ適切な空間を確保すること(気候変動適応法施行規則第4条)。一定の定量的な面積を求めるものではなく、受け入れ可能と見込まれる人数に応じ、その人数が同時に適切に滞在できる空間が確保されていることとされている。

手引きは、この基準について「既に冷房設備が整っている施設の活用を官民問わず幅広に認めることにより、取組を後押しする趣旨で最低限の基準とするもの」と説明しており、自治体が地域の実情に照らして個別に必要な事項を定めても差し支えないとしている。

民間施設を指定するときの手続き

市町村以外の者が管理する施設を指定しようとするときは、その施設の管理者の同意を得なければならない。指定したときは、管理者との間で協定を締結する必要がある。協定に定める事項は、対象施設の名称・住所等、開放日、時間帯および受入可能人数に加えて、施設の管理に関する事項と協定の有効期間が基本とされている(気候変動適応法施行規則第5条)。

市町村長は、指定暑熱避難施設の名称、所在地、開放可能日等、開放により受け入れることが可能であると見込まれる人数を公表しなければならない。指定を取り消すこともでき、その場合も公表が必要になる。手引きは、市町村に加えて都道府県においても情報を収集し、住民がアクセスしやすいようウェブサイト上に地図とともにわかりやすく公表することが望まれるとしている。

開放は施設管理者の義務

開放の義務を負うのは、指定暑熱避難施設の管理者である。当該施設の存する区域に係る熱中症特別警戒情報が発表されたときは、公表している開放可能日等において開放しなければならない。指定は市町村長の判断で行える一方、実際に開けるのは管理者であるため、公表した開放可能日等の設定と、管理者との協定の内容が運用を左右する。

当社データベースでは、過去1年(2025年8月以降のデータ)で「クーリングシェルター」または「暑熱避難」に言及した議会答弁関連の記録が196自治体で確認されている。


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