ペットの避難、「同行」から「同伴」へ——釜石市はルール未策定で飼い主が苦慮、今年度内にガイドライン

関連自治体: 岩手県釜石市 / 山口県光市 / 三重県伊勢市 / 北海道帯広市

岩手県釜石市は2026年6月25日の市議会6月定例会で、災害時にペットを連れて逃げる同行避難を原則としながら、ペット避難に関する一定のルールを策定していないことから飼い主が避難時に苦慮する事例があると答弁した。今年度内に市版のガイドラインを策定し、ペットと飼い主が一緒に過ごせる同伴避難の実現に向けて取り組むとしている。

各市の表明

  • 岩手県釜石市(2026年6月25日・6月定例会・市): 平成30年に環境省が策定した人とペットの災害対策ガイドラインに沿って、災害時にペットを連れて逃げる同行避難を原則としている。しかしペット避難に関する一定のルールを策定していないことから、飼い主が避難時に苦慮する事例があり、改善のための対応が求められているとした。本年2月に拠点避難所の1つとなる小学校でペット同行避難訓練を実施し、天候や気温による屋内対応の必要性、受付時の一般避難者との動線分離、避難生活時の見守り管理体制、糞尿等の衛生面への配慮といった課題を把握した。今年度は他の拠点避難所でも訓練を実施して調査・検討を進める。環境省のガイドライン改定や避難訓練での意見を踏まえ、今年度内に釜石版ガイドラインを策定するとともに、同行避難が可能な施設の選定を進めるとした。避難所内の居住スペースの切り分けや誘導などの課題を精査し、ペットと飼い主が一緒に過ごせる同伴避難の実現に向けて取り組むと答弁した。
  • 山口県光市(2026年6月25日・総務教育環境委員会・市): ペット同伴避難所の移設工事について、すでにユニットハウス3棟の移設は終わっており、予定どおり7月1日から使用できると答弁した。
  • 三重県伊勢市(2026年6月23日・6月定例会一般質問・環境生活部長): 市が作成したリーフレットや広報紙、ホームページを通じて、避難時のルールや日頃からの備えについて周知を行っている。本年2月には三重県獣医師会の支部と連携してペットの避難セミナーを開催し、避難所での心構えについて啓発した。ペットと一緒に避難できる施設は小・中学校としており、リーフレットやホームページを通じて公表していると答弁した。
  • 北海道帯広市(2026年7月21日・総務委員会・危機対策課長): 災害への備えは日頃からの取り組みが重要であり、防災動画を継続的に見て家庭での備えにつなげてもらうことが必要だとした。昨年、動画の二次元コードやペットの避難について記載した啓発チラシを作成し、市内17施設の動物病院に設置を依頼して、ペットを飼っている人に直接情報が届くよう取り組んだ。今後も出前講座やイベント出展など様々な機会を活用し、在宅避難を含めた避難方法や日頃からの備えについて周知・啓発を図るとともに、効果的な周知方法についても引き続き検討すると答弁した。

背景

4市の答弁は、ペットの避難をめぐる論点が「同行」と「同伴」という2つの段階に分かれていることを示している。同行避難は、飼い主がペットを連れて安全な場所まで避難する行動を指す。一方、避難所でペットと飼い主が同じ空間で過ごせるかどうかは別の話になる。釜石市が「同伴避難の実現に向けて」と述べたのは、この後段に踏み込む意味である。

釜石市が訓練で把握した4つの課題——屋内対応、受付時の動線分離、避難生活時の見守り管理体制、衛生面——は、いずれも避難所の運用と設備に関わる。光市がユニットハウスを移設したのも、同伴避難所という場所を確保する動きにあたる。

一方、伊勢市と帯広市の答弁は、周知・啓発の段階にとどまっている。伊勢市は獣医師会と連携したセミナー、帯広市は動物病院を経由したチラシ配布と、いずれも飼い主に届ける経路を工夫しているが、避難所で受け入れる側の運用ルールについては言及がなかった。

当社データベースでは、過去1年(2025年8月以降のデータ)で「ペット同行避難」「ペット同伴避難」「ペットの避難」等に言及した議会答弁関連の記録が135自治体で確認されている。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。