火葬場が足りない——沖縄の広域整備は用地取得で難航、供用開始は令和10年度へ後退

関連自治体: 沖縄県宜野湾市 / 沖縄県北中城村 / 長崎県松浦市

市内に火葬場がなく、住民が割高な火葬料を負担して他市町村の火葬場を使う状態が続いている。沖縄県中部の4市町村が共同で進める広域火葬場は、用地取得の遅れなどから供用開始のめどが当初より1年後ろにずれた。多死社会で火葬需要が増すなか、施設の新設と更新はなお解けない課題として残る。

各市の状況

  • 沖縄県宜野湾市(2026年3月・市議会一般質問・企画部長): 市内に火葬場がなく、市民は他市町村の火葬場を利用して割高な火葬料を負担していると議員が指摘した。市は沖縄市・北谷町・北中城村との4市町村で広域火葬場を共同整備しており、令和6年7月29日に整備運営の覚書を交わし、8月6日には防衛省へ財政支援を要請したと答弁した。スケジュールは令和7年度末から令和8年度に用地取得を進め、令和9年度から本体工事に入り、令和10年度中の供用開始を目指すとした。事業主体の沖縄市が予定する建設地では住民説明会で反対意見が相次いだとされ、火葬場ができるまでは他市の火葬料の負担軽減事業を継続するとした。
  • 沖縄県北中城村(2026年3月・村議会一般質問・村長): 広域火葬場整備は令和7年4月から事業主体の沖縄市へ事務を委託し、4市町村で共同整備に取り組んでいると説明した。当初は令和9年度中の供用開始を目指していたが、都市計画の決定や事業認可に時間を要して用地取得に遅れが生じたこと、施工業者の週休2日制導入で工期が延びたことからスケジュールを見直し、令和10年度中の供用開始を目指すとした。
  • 長崎県松浦市(2026年3月・市議会一般質問・市民生活課長): 市内の松浦斎場は令和6年度に年間454件(月平均38件)、福島斎場は年間46件(月平均4件)の火葬を行ったと答弁した。松浦斎場は常時2炉、福島斎場は1炉で運営し、1炉あたり1日3件まで火葬できるとした。数日待つ利用者がいるとの情報は指定管理者から受けていないとしたうえで、両斎場は維持補修をしながら継続使用する方針で、更新や新設の計画はないと説明した。火葬炉は高温で耐火物が劣化するため、令和8年度予算に炉の修繕費を計上したと述べた。

背景

火葬場は墓地、埋葬等に関する法律に基づき、主に市町村が設置・管理する公共施設である。国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計では、全国の死亡数は増加が続き、2040年に約165万人でピークを迎える見通しで、火葬需要はなお当面伸びる。一方で、火葬場の新設は建設地の選定や住民合意に時間がかかり、既設の炉は火葬のたびに高温で耐火物が劣化するため、更新か延命修繕かの判断を各自治体が迫られている。厚生労働省は全国火葬場データベースを整備している。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「火葬場」「斎場」または「火葬炉」と、整備・建設・更新・老朽化・広域・火葬待ちのいずれかの両方に言及した議会答弁関連の記録が109自治体で確認されている。


出典:

  • 宜野湾市議会 2026年3月定例会 本会議一般質問(議会中継の字幕データより・該当箇所 30:43頃〜)
  • 北中城村議会 2026年3月定例会 本会議一般質問(議会中継の字幕データより・該当箇所 3:04頃〜)
  • 松浦市議会 2026年3月定例会 本会議一般質問(議会中継の字幕データより・該当箇所 24:47頃〜)
  • 厚生労働省「全国火葬場データベース」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei24/
  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp_zenkoku2023.asp
  • 当社データベース集計: 2025年7月以降の議会関連記録を対象に「火葬場/斎場/火葬炉」と「整備/建設/建替/更新/老朽/広域/火葬待ち/待機」の両方に言及した記録を集計(109自治体)

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。