子育て・保育

一時保護所の定員超過、受け皿づくりが追いつかず——京都市は専用棟、杉並区は委託先「白紙」

関連自治体: 京都府京都市 / 東京都杉並区 / 北海道苫小牧市

児童虐待などで緊急に保護された子どもを預かる一時保護所で、定員超過や職員・受け皿の不足が各地の議会で相次いで論点になっている。京都市が2026年3月2日の市議会予算特別委員会分科会で定員超過を「喫緊の課題」と位置づけた一方、児童相談所を新設する自治体では保護児童の委託先が固まらないまま開設日が迫る事例も明らかになった。

各市区の表明

  • 京都府京都市(2026年3月2日・予算特別委員会分科会・子ども若者育み局育み創造推進室長): 市が設置・運営する一時保護所について、保護人員数の増加や1人当たりの平均保護日数が超過傾向にあることなどにより、入所児童数の定員超過が発生していると説明した。対策を喫緊の課題に位置づけ、児童養護施設等に小規模なグループでケアするユニットとして一時保護専用棟を設ける場合、国基準の職員配置に加え常勤職員2名分の人件費相当を補助すると答弁した。
  • 東京都杉並区(2026年6月・区議会本会議・議案討論): 区は2026年11月1日に区立児童相談所を開設する予定で、他区が設置を延期・断念する中でほぼ唯一開設を維持していると議員が指摘した。区立の一時保護施設の定員は16名だが、定員を超えた子どもの行き先はこの時点で「白紙」だと述べた。2025年成立の改正児童福祉法で一時保護の委託先は条例の基準に適合し登録された施設に限られるが、その登録の見込み先は現時点で存在しないことが保健福祉委員会の答弁で明らかになったとした。一時保護所ではおおむね5年以上の経験が求められる職員の比率が6%にとどまるとも指摘した。
  • 北海道苫小牧市(2026年6月・市議会一般質問・子ども未来部長): 市子ども相談課と北海道室蘭児童相談所苫小牧分室の複合施設として2021年1月に開設した子ども相談センターに関し、市関係分の児童虐待対応件数は2023年度156件、2024年度240件、2025年度228件と答弁した。室蘭児童相談所管内で本市の相談件数が全体の半数近くを占め、高い水準で推移していると説明した。市は身近な相談支援を、児童相談所は一時保護や心理判定などの専門的業務を担う役割分担で連携しているとした。

背景

一時保護所は児童福祉法に基づき、虐待などから子どもを緊急に保護する施設で、こども家庭庁は2024年4月、設備及び運営に関する基準を施行した。基準は、こどもの権利に十分配慮して一人一人の人格を尊重することを原則に掲げ、居室の定員を4人以下とするなど居住環境の整備や、実際の受入れ人員に応じた職員配置を求めている。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「一時保護所」と「定員」の両方に言及した議会関連の記録が10自治体で確認されている。定員超過への対応は、専用棟の整備、委託先の確保、経験ある職員の配置という複数の局面で同時に課題になっている。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。