スクールバス、利用者は減り費用は増える——鶴田町は1人あたり787円が1,223円に、大船渡市は事業者の継続が課題

関連自治体: 青森県鶴田町 / 岩手県大船渡市 / 栃木県栃木市 / 熊本県玉名市

青森県鶴田町は2026年6月11日の町議会第2回定例会一般質問で、小学校統合後に運行しているスクールバスについて、利用者が令和2年度の延べ6万1,241人から昨年度は延べ5万363人に減った一方、委託料は4,817万2,960円から6,157万4,342円に増え、1人あたりでは787円から1,223円になったと教育長が答弁した。学校の統廃合で必要になった通学の足が、少子化と運行経費の高騰で重くなっている。

各市町の表明

  • 青森県鶴田町(2026年6月11日・第2回定例会一般質問・教育長): 小学校のスクールバスは統合後の令和2年度から、旧鶴田小学区以外の学区を7路線、登校時1便・下校時3便を基本に運行している。利用者は令和2年度が延べ6万1,241人(1日平均303人)だったのに対し、昨年度は延べ5万363人(1日平均252人)で、1日平均51人減った。運行費は令和2年度のバス委託料4,817万2,960円(1人あたり787円)に対し、昨年度は6,157万4,342円(1人あたり1,223円)と436円増額したとした。中学校のスクールバスは、従来の2路線に加えて令和4年度から11月から3月までの期間に限り5路線に拡大している。昨年度4月から10月までの2路線の利用者は延べ1,341人(1日平均11人)で運行費620万7,240円(1人あたり4,629円)、11月から3月までの5路線は延べ7,950人(1日平均93人)で委託料1,506万2,850円(1人あたり1,895円)だったと答弁した。
  • 岩手県大船渡市(2026年6月18日・第2回定例会一般質問・教育次長): スクールバスは学校統合後における必須の遠距離通学支援策として、市内のバス運行事業者に運行業務を委託して実施している。現在、小学校4校・中学校3校の児童生徒299人を対象に、16路線において16台を運行している。運行内容は通学支援にとどまらず、施設見学や体験学習などの教育活動の支援、市内国保診療所への患者輸送、私立子ども園への通園支援など、公共交通的な役割も担っている。一方、運行業務を受託する事業者を取り巻く環境は、近年の運転手不足、時間外労働への上限規制適用、燃料費をはじめとする運行経費の高騰により、事業継続における課題が顕在化し厳しい状況にあるとした。今後については、児童生徒数の推移を踏まえた適切な路線設定と配車を前提としつつ、運行に係る国の支援制度を最大限に活用して財政負担の適正化に努めると答弁した。
  • 栃木県栃木市(2026年6月18日・6月定例会一般質問・市): 公共施設適正配置計画における学校教育系施設の方針について、小中学校適正配置基本構想に基づき、すべての小学校を対象に適正配置を検討するとした。学校の統廃合による財政的効果として施設管理費や人件費の削減を見込む一方で、スクールバス運行費用など増加する可能性もあるとした。令和7年度末時点で、1万8000平米の縮減目標に対し約5000平米の縮減にとどまっており、学校教育系施設は公共施設全体の44%を占めるため計画全体の進捗に影響が出ると認識しているが、適正配置は地域の意見を伺いながら丁寧に進めると答弁した。
  • 熊本県玉名市(2026年6月17日・第2回定例会一般質問・教育部長): 令和5年度に運行見直し検討委員会を設置して協議を進めてきた。従来は文部科学省基準により通学距離4km以上を対象としていたが、統合により通学条件が変更となる児童には教育委員会が認める規定が適用され、統合地域によっては2km未満の児童も利用が認められていた。安全・安心な通学手段の確保、運動能力・体力づくり、学校間の通学距離の格差是正を目的に検討委員会を設置し、答申では通学距離の基準を原則4km以上としつつ統合校ではおおむね3km以上とすること、通学距離の測定方法を通学班の集合場所から学校までの道のりとし利用は登校班単位とすること、傾斜角度が大きい山間部は基準距離を1.5で割ること、現在利用している児童には数年間の経過措置を設けることが盛り込まれたとした。答申を指針とし、保護者や地域への丁寧な説明を行いながら持続可能な運行に取り組むと答弁した。

背景

4市町の答弁を並べると、スクールバスに3つの力が同時にかかっていることがわかる。

1つ目は統廃合である。鶴田町も大船渡市も、統合後に必要になった通学手段としてスクールバスを位置づけている。栃木市の答弁は、その統廃合が生む財政効果とスクールバス運行費用の増加が相殺されうることを、計画の担当部局の側から述べたものである。

2つ目は少子化である。鶴田町の数字が示すとおり、利用者が減っても路線と便数を維持すれば委託料は下がらない。1人あたりの単価はむしろ上がる。同町の中学校で、通年2路線が1人あたり4,629円、期間運行5路線が1人あたり1,895円と差が出ているのも、乗る人数と運行規模の関係による。

3つ目は供給側である。大船渡市が挙げた運転手不足、時間外労働への上限規制、燃料費の高騰は、受託する事業者の側の事情である。同市がスクールバスに患者輸送や通園支援も担わせているように、地方では学校の送迎と地域の交通が同じ事業者に支えられている。

こうした中で、玉名市のように利用の基準そのものを見直す動きが出ている。同市の答申は通学距離の基準を上げる方向だが、山間部は基準距離を1.5で割る、経過措置を設けるといった調整もあわせて示している。

当社データベースでは、過去1年(2025年8月以降のデータ)で「スクールバス」または「通学バス」に言及した議会答弁関連の記録が498自治体で確認されている。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。