免許返納後の移動手段、確保できず——石巻市はタクシー助成「難しい」、筑西市は返納年300人
関連自治体: 宮城県石巻市 / 茨城県筑西市 / 長崎県松浦市
宮城県石巻市は2026年2月25日の市議会本会議代表質疑で、運転免許を返納した高齢者向けのタクシー利用助成について「国からの財政支援制度がないことから、現状では実施は難しい」と市長が答弁した。返納を促す一方で代替の足を確保しきれない状況は茨城県筑西市や長崎県松浦市の議会でも同時期に報告され、いずれも解消のめどは立っていない。
各市の表明
- 宮城県石巻市(2026年2月25日・本会議代表質疑・市長): 運転免許証返納者への支援は、令和7年度に路線バスを対象に行った実績を踏まえ、住民バス等へ対象を拡大するとともに、自宅からバス停・バス停から目的地までのラストワンマイルの移動支援として一般タクシーにも支援を拡充すると答弁した。ただしタクシー利用者への助成は「国の財政支援制度がないことから、現状では実施は難しい」とした。公共交通の再構築は令和8年度中に現計画を見直し、令和9年度からの新計画で進めるとした。
- 茨城県筑西市(2025年12月8日・本会議一般質問・市民環境部長ほか): 筑西警察署管内の運転免許証返納者は令和4年度307件、令和5年度298件、令和6年度275件で、年300人前後が積み上がっていると答弁した。デマンド交通「乗り合い君」は令和6年度に累計登録者17,950人、延べ利用者37,665人。ただし12台・予算約8,000万円で運行しており、これ以上の増車は難しいとした。市は第2次地域公共交通計画の策定に向けアンケートを実施し、交通空白地の高齢者の声を把握するとした。
- 長崎県松浦市(2026年3月9日・本会議一般質問・市長): 免許を返納したら買い物や病院に行けるのかという高齢者の不安は「十分承知している」と市長が答弁した。市の地域公共交通計画は令和8年度末で期間満了となるため令和8年度中に改定し、地域公共交通会議で新たな交通網を決めるとした。ただし財源の手当てや市民負担のあり方、バス・タクシーの運転手不足が課題で、玄関から目的地までの移動をどう保障するかは次期計画に委ねられている。
背景
警察庁によると、2024年の運転免許の自主返納は42万7,914件で5年ぶりに増加し、うち75歳以上が約6割を占めた。返納した高齢者の受け皿となる移動手段の確保が課題となっており、国土交通省は「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」を通じ、地域公共交通の活性化や運賃割引などの対策を進めている。もっとも受け皿づくりはタクシー助成の財源、デマンド交通の車両数、運転手不足といった壁に阻まれ、返納後の外出・通院・買い物の不安が残る。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「免許返納」など返納に関する語と、移動手段・公共交通・タクシー・デマンド・外出のいずれかに同時に言及した議会関連の記録が382自治体で確認されている。
出典:
- 石巻市議会 2026年2月25日 令和8年第1回定例会 本会議代表質疑(動画: https://www.youtube.com/watch?v=cEIKtd_r0Is / 該当箇所 2:01頃〜、5:04頃〜)
- 筑西市議会 2025年12月8日 令和7年12月定例会 本会議一般質問(会議録の字幕データより・該当箇所 5:26頃〜、6:28頃〜)
- 松浦市議会 2026年3月9日 令和8年第1回定例会 本会議一般質問(動画: https://matsuura-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=985 / 該当箇所 39:12頃〜、46:45頃〜)
- 警察庁「運転免許統計」(https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/menkyo.html)
- 国土交通省「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」(https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_fr_000084.html)
- 当社データベース集計: 2025年7月以降の議会関連記録を対象に「免許返納/運転免許の返納/運転免許証返納」等と「移動手段/公共交通/タクシー/デマンド/外出」等の両方に言及した記録を集計(382自治体)
記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。