給食無償化、食べられない子への給付で対応分かれる——名古屋市は年最大6.2万円を1月給付、丹波市は「実施せず」

関連自治体:愛知県名古屋市 / 東京都世田谷区 / 兵庫県丹波市 / 東京都国立市 / 千葉県木更津市

名古屋市は2026年9月1日の市議会本会議で、アレルギーや不登校等により給食無償化の恩恵が及ばない非喫食児童約3,500人に対し、2027年1月以降に最大で年6.2万円を給付すると教育長が答弁した。国による公立小学校給食費の無償化が2026年4月に始まって以降、給食を食べられない児童への対応は自治体の判断に委ねられており、9月議会で各市の姿勢が分かれた。

各市の表明

  • 愛知県名古屋市(2026年9月1日・本会議一般質問・教育長): アレルギーや不登校等でやむを得ず給食を喫食しない児童(牛乳のみ不可の児童含む)約3,500人に対し、2026年度分を4月に遡り月額5,660円を基礎に、全く食べられない児童は年最大約6.2万円、牛乳のみ不可の児童は年最大約1.3万円を給付すると答弁した。総額約7,500万円を見込み、2027年1月以降順次口座振替で給付するとした。
  • 東京都世田谷区(2026年9月1日・文教常任委員会・学校健康推進課長): 私立小中学校等に通う児童生徒約1万6,900人(うち私立約1万4,100人)に東京都補助を活用した給食費相当額の給付金を12月1日基準日で支給するとした。あわせて長期欠席で給食を喫食していない区立児童生徒約1,600人にも給食費相当額を支給するとし、私立等の給付金は2027年1月に申請書を発送し、長期欠席者分は11月に申請を開始して、いずれも2027年2月の支給開始を予定すると答弁した。
  • 兵庫県丹波市(2026年9月3日・本会議一般質問・教育長、教育部長): 非喫食児童生徒27名(不登校20名、その他7名)を把握しているが、公平性の判断が難しいとして給食費相当額の補助は現時点で行わない考えを示した。給付を実施済みの県内他市とは非喫食児童の背景や人数が異なるとし、他市に追随せず市独自に検討を続ける方針を答弁した。
  • 東京都国立市(2026年9月1日・本会議一般質問・教育部長): 私立小中学校等の給食費相当額補助について、東京都補助要項が7月下旬に示され上限額等の詳細が判明したと説明した。私立在籍で不登校の児童生徒や給食未実施校の弁当代等も対象にできるとし、今年度中の実施を目指し12月議会に予算を提案する方向で準備を進めていると答弁した。
  • 千葉県木更津市(2026年9月2日・3日・本会議一般質問・教育部長): 物価高騰対応の臨時交付金が終了すれば、食材費と国基準額の差額(試算で児童1人年間約9,000円)は学校給食法の原則に基づき保護者負担に戻す方針を示した。公立中学校の給食費無償化は国から具体的な情報が届いていないとし、全国一律の基準や財源措置を含め国が主導的に実施することが望ましいとして国の動向を注視する考えを述べた。

背景

国は2026年4月、公立小学校の食材費を対象に学校給食費の抜本的な負担軽減を始めた。基準額は完全給食で小学校月額5,200円などで、11ヶ月分を交付する仕組みである。文部科学省の実施要領はこの交付対象事業に非喫食者への金銭給付等も含め、対象を重度のアレルギーその他の疾患、不登校、宗教上の配慮が必要な場合等でやむを得ず喫食しない者と例示している。給付上限は都道府県の基準額の範囲内で非喫食月数に応じて算定し、実施主体・負担は都道府県となる。

私立・国立小学校や中学校への支援拡大は国の制度に記載がなく、自治体の判断に委ねられている。丹波市のように補助を見送る市がある一方、名古屋市や世田谷区、国立市は独自財源や都道府県補助を組み合わせて対応しており、給付方法や対象範囲の設計は自治体ごとに分かれる。国基準の超過分を独自負担する3市町のように、給食費無償化をめぐる自治体独自の上乗せ判断は制度開始直後から続く論点である。

当社データベースでは、2025年9月以降の議会答弁関連記録のうち「給食」と「非喫食・未喫食・喫食できない・給食費相当」を同一議題で含むものが215自治体で確認されている。


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている議事録と議会中継の動画に基づいています。リンク先の動画は、公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。