【山形市】「日本一の観光案内所」実現へ、観光DX推進業務プロポーザル

関連自治体: 山形県山形市

山形市は2025年11月21日、「『日本一の観光案内所』実現に向けた観光DX推進業務」の公募型プロポーザルを開始した。案内所業務の高度化と負荷軽減に向け、AIカメラ等のDXツールを試験導入し、有効性や課題を検証・分析する事業者を募る内容だった。審査委員会は2025年12月19日に開催され、提案事業者数は1者と公表されている。

① 概要

項目内容
自治体名山形県山形市
部署商工観光部日本一の観光案内所整備室
案件名「日本一の観光案内所」実現に向けた観光DX推進業務
公開日2025年11月21日
締切2025年12月12日午後5時(参加申込・企画提案書等提出期限)
契約期間契約締結日から2026年3月30日まで
予算提案上限額 500万円(消費税及び地方消費税を含む)
募集ページURLhttps://www.city.yamagata-yamagata.lg.jp/jigyosya/nyusatsu/1006744/1013539/1017315.html (2026年7月13日取得)

② 案件概要

山形市は「日本一の観光案内所」を観光拠点および情報拠点として整備し、観光関連情報が集約され充実した情報発信・提供ができる案内所とすることを想定している。本業務はその実現に向け、案内所業務の高度化および負荷軽減を目的に、AIカメラと、来訪者への応対内容の記録等ができるAIツールを試験導入し、その有効性や課題を検証・分析するものである。事業者選定では価格のみでなく、業務実績、専門性、技術力、企画力、創造性等を総合的に評価するとして、公募型プロポーザル方式を採用した。

③ 主な業務内容

  • AIカメラの試験導入・設置(機材・システム、運用方法、信頼性・導入実績の検討を含む)
  • 応対内容の記録等ができるAIツールの試験導入・設置(機材・システム、運用方法、信頼性・導入実績の検討を含む)
  • 導入したDXツールの効果検証・分析
  • 独自提案に基づく付加的な取り組み

④ 応募条件

  • 単独法人、または複数法人・個人で構成する共同企業体等での参加が可能
  • 単独法人での参加要件(抜粋): 過去3年以内に自治体および団体、企業等に対する観光DX推進支援等の実績を有すること/地方自治法施行令第167条の4に該当しないこと/会社更生法・民事再生法・破産法等に基づく手続きの申立てがなされていないこと/山形市の競争入札参加資格者名簿への登録(未登録の場合は契約締結までに登録)/山形市の指名停止期間中でないこと/山形市暴力団排除条例に規定する暴力団等でないこと/宗教活動・政治活動を主たる目的としないこと/税の滞納がないこと
  • 共同企業体等での参加時は、構成事業者のいずれかが上記の実績要件を満たし、全構成事業者がその他の要件を満たすことが必要。代表企業が市との連絡窓口となる
  • 見積金額(税込)が500万円を超えるものは失格

⑤ スケジュール

項目日程
公募開始2025年11月21日
質問締切2025年11月28日午後1時
質問への回答2025年12月5日午後5時まで
参加申込・企画提案書等提出期限2025年12月12日午後5時
書類審査結果通知(該当時)2025年12月17日
プレゼンテーション審査2025年12月19日
審査結果通知2025年12月下旬

⑥ 自治体ニーズ分析

山形市議会公式の会議録検索システム(山形市議会/会議録検索システム)で「観光案内所」を検索した(検索対象: 令和5年〜令和8年の本会議・委員会会議録、2026年7月13日検索実施)。該当は219件に上り、本案件に直接関連する審議は2026年2月26日から3月24日にかけての令和8年3月定例会・予算委員会に集中していた。

2026年2月26日の令和8年3月定例会(第1号)で、市長は日本一の観光案内所の整備を新駅設置を含む公共交通の充実などとともに市政運営の重点施策の1つとして挙げた。同年3月5日の同定例会(第3号)では、議員から観光案内所の機能に関する質疑が相次ぎ、市長は駅前での滞在時間の有効活用といった観点も踏まえ、整備後の改善に取り組む考えを示した。

予算審議では、2026年3月6日の令和8年予算委員会で、商工観光部長が「日本一の観光案内所推進事業」に要する経費について説明した。同事業は前年度の令和7年度当初予算(2025年2月14日内示、山形市財政課公表資料)で新規拡充事業として計上されており、予算額は1億196万円(101,960千円)。事業概要は「日本一の観光案内所の整備に向け、基本計画を策定するとともに、引き続き日本一の観光案内所が備えるべき機能の研究・開発を行う。また、観光客の利便性向上のため、現状の観光案内所の関係機能の維持・向上に向けた取組を行う」とされており、慶應義塾大学SFC研究所・東日本旅客鉄道株式会社との共創ラボでの研究開発、基本計画策定業務委託などが内訳に含まれる。2026年3月19日の同予算委員会では、産業文教分科会委員長が「日本一の観光案内所の実現に向けて、令和7年度に策定した基本計画の内容を踏まえ」と報告しており、基本計画が令和7年度中(2025年4月〜2026年3月)に策定されたことが議会側の報告でも確認できる。

計画面では、山形市は2023年度、慶應義塾大学SFC研究所および東日本旅客鉄道株式会社と「日本一の観光案内所」実現に向けた研究開発に関する覚書を締結し、三者による研究会「共創ラボ」で調査研究を重ねた。この成果として2024年11月に「日本一の観光案内所」基本構想を策定した。構想では「暮らしと観光がつながる」空間をコンセプトに掲げ、来訪者の多様なニーズへの対応、期待を超える「驚き」と「感動」の追求、サステナブルな地域経済循環を基本理念とし、山形駅周辺での整備・2027年度以降の供用開始を想定している(山形市公式サイトの基本計画掲載更新日は2026年3月23日)。

本記事で扱う公募型プロポーザル(案内所業務のAIカメラ等DXツール試験導入・提案上限額500万円)は、基本構想(2024年11月策定)と、これに続く令和7年度予算での基本計画策定・機能研究開発(予算額1億196万円)という大枠の中で、案内所業務の高度化・負荷軽減を検証する個別の実証事業に位置づけられる。基本構想→基本計画・DX研究開発(令和7年度予算)→本プロポーザルによる実証(2025年11月公募)という段階を経て進められてきた案件であり、令和8年3月の予算委員会でも「日本一の観光案内所推進事業」として継続審議されていることが確認できる。

⑥-2 営業チャンス(案件成熟度)

判定: 段階2(計画へ掲載済み)を経て、段階3(プロポーザル公募中)が終了し、段階4(契約済み)に近い局面

  • 段階2の根拠: 2024年11月策定の「日本一の観光案内所」基本構想により、観光案内所の高度化・DX活用の方向性が計画に明記された。加えて、令和7年度当初予算(2025年2月14日内示)で「日本一の観光案内所推進事業」(予算額1億196万円)が新規拡充事業として計上され、基本計画策定と機能研究開発の実施が予算面でも裏付けられている。
  • 段階3の根拠: 本記事で扱う公募型プロポーザル自体が2025年11月21日に開始され、2025年12月12日に締切を迎えた。
  • 段階4への移行状況: 山形市公式サイトの審査結果ページによると、審査委員会は2025年12月19日に開催され、提案事業者数は1者、優先交渉権者が決定されたと公表されている。ただし同ページには「優先交渉権者を決定したものであり、必ずしも契約の成立を約束するものではない」との注記があり、選定事業者名・契約金額は本記事執筆時点(2026年7月13日)で公表資料PDF以外に確認できていない。加えて、2026年2月26日〜3月19日の令和8年3月定例会・予算委員会では、市長・商工観光部長が「日本一の観光案内所推進事業」を継続案件として説明しており、事業自体は令和8年度以降も継続する見込みであることが議会審議からも確認できる。山形市は「日本一の観光案内所」整備の他フェーズ(映像制作、回遊型イベント企画運営等)でも公募型プロポーザルを実施しており、今後も関連する委託業務の公募が続く案件群にあたる。次年度以降の関連公募や、他自治体の同種の観光DX案件への横展開を検討する価値がある。

⑦ 企業へのポイント

  • AIカメラや接客記録AIツールなど、観光案内・窓口業務のDXを手がける企業に向く案件である。実施要領は過去3年以内の自治体・団体・企業等に対する観光DX推進支援等の実績を単独法人参加の要件としており、自治体向け実績の有無が評価に直結する。
  • 評価基準表は本記事執筆時点で個別配点までは確認できていないが、審査対象として「業務遂行能力」「AIカメラの試験導入・設置」「応対内容記録AIツールの試験導入・設置」「検証・分析」「独自提案」「提案全体(事業費・業務計画)」の6項目が明記されている。単なる機材提案にとどまらず、検証・分析の設計力と独自提案の具体性が評価を左右する構成である。
  • 本件はすでに締切・審査を終えているが、山形市は「日本一の観光案内所」の整備を2027年度以降の供用開始に向けて段階的に進めており、映像制作やイベント運営等の関連プロポーザルも続いている。計画段階からの動向把握が、次の公募での提案準備に直結する案件群である。

⑧ 参考資料


出典:

記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。