【美馬市】観光魅力発信委託業務プロポーザル——僅差5点、明暗分けた「提案内容の効果」
関連自治体: 徳島県美馬市
徳島県美馬市は2025年6月3日、公募型プロポーザル「美馬市観光魅力発信委託業務」(整理番号・観光交流物2)の評価結果を公表し、一般社団法人CoFamilyを採用事業者に決定した。応募は2者にとどまり、市が公開した評価結果表によると、7項目・100点満点の総合得点は採用事業者が93点、次点事業者が88点で、点差はわずか5点だった。項目別の内訳を見ると、両者の実力は各項目でほぼ拮抗していたが、「提案内容の効果」という1項目だけで4点の差がつき、これが最終的な明暗を分けたことが読み取れる。
案件の概要
業務名は「美馬市観光魅力発信委託業務」、履行期間は契約締結日から2026年3月10日までである。市が示した設計金額(予定価格に相当)は495万円(税込)で、採用事業者の見積金額は488万4千円(税込)、設計金額を6万6千円下回る水準だった。
美馬市が公表した評価結果表には、業務内容そのものを説明する仕様書や募集要領へのリンクは付されておらず、審査対象となった業務の詳細(発信するSNSの種類、動画制作の有無、想定する発信期間など)は、本記事執筆時点(2026年7月17日取得)で確認できる公開資料の範囲では確認できない。所管は市の観光交流課であり、市はかねて公式サイトや移住・定住促進サイトなどで美馬市の魅力発信に取り組んでいる。ただし、本業務が既存の発信施策とどのような関係にあるかを含め、事業の具体的な仕様は公開資料からは確認できない。
審査体制——委員数・委員構成は非公表
評価結果表には、審査に関わった委員の人数や、庁内委員か外部委員かといった構成についての記載がない。評価方法として「提案内容に対して評価内容を審査し、別紙評価欄に『5』『4』『3』『2』『1』のいずれかで評価する」という5段階評価の基準(5=非常に優れている、4=優れている、3=標準、2=劣っている、1=非常に劣っている)が明記されている一方、各項目の満点(配点)や、これが単独の評価委員によるものか複数委員の合計かは、公開資料からは確認できない。項目1〜6の得点が2桁に達している点からは、複数委員の評価を合算した得点である可能性が考えられるが、これは推測の域を出ず、確定的には言えない。
コスト評価(項目7)については、算定式が明記されている。「満点(20点)×(見積金額のうち最低金額/自社の見積金額)で採点する(小数点以下切り捨て)」という方式で、応募者のうち最低価格を提示した事業者が満点20点を得る仕組みである。今回の結果では、次点事業者が満点の20点を得ており、採用された一般社団法人CoFamilyは19点にとどまった。これは、次点事業者の見積金額が2者のうちで最も低かったことを意味する。すなわち本件は、価格の安さでは次点事業者が上回っていたにもかかわらず、総合点では逆転されたケースである。
採点表——どこで差がついたか
評価結果表に記載された項目別得点は次のとおりである。
| 評価項目 | 一般社団法人CoFamily(採用) | 次点事業者 |
|---|---|---|
| 業務の理解度 | 13 | 13 |
| 提案内容の的確性 | 13 | 12 |
| 提案内容の効果 | 13 | 9 |
| 提案内容の精通度 | 12 | 12 |
| 提案内容の量 | 12 | 11 |
| 説得力・表現力 | 11 | 11 |
| コスト | 19 | 20 |
| 得点合計 | 93 | 88 |
7項目のうち、「業務の理解度」「提案内容の精通度」「説得力・表現力」の3項目は同点、または1点差以内で並んでいる。両者の提案内容が全体として近い水準にあったことがうかがえる。
明確な差がついたのは「提案内容の効果」の1項目で、採用事業者13点に対し次点事業者は9点と、4点の開きがあった。これは全7項目で最大の点差であり、2点以上の差がついた唯一の項目でもある。次点事業者はコスト評価で1点上回っていたものの、この4点差を挽回するには至らなかった。「提案内容の的確性」(1点差)と「提案内容の量」(1点差)でも採用事業者がわずかに上回っており、これらの小差の積み上げに「提案内容の効果」の4点差が加わったことで、合計5点差という結果になったと整理できる。
なお、評価結果表には項目ごとの評価基準(「提案内容の効果」が何を指すかの具体的な評価の視点)についての説明文は付されておらず、「効果」がどのような観点(集客効果の見込み、情報発信の到達範囲、費用対効果など)で評価されたのかは、公開資料からは確認できない。仕様書等の関連資料が非公開であるため、この項目で次点事業者の提案の何が弱かったのかについても、公開資料の範囲では推測にとどまらざるを得ない。
この案件から学べるポイント
- 価格の安さだけでは逆転できない。次点事業者はコスト評価で満点を得ており、価格面では採用事業者を上回っていた。それでも「提案内容の効果」という1項目の4点差を覆せなかった。価格競争力がある提案であっても、内容面の項目で明確な弱点があれば、総合順位を左右し得ることが本件から読み取れる。
- 僅差の勝負では、複数の小さな差の積み上げが結果を分ける。7項目中4項目は1点差以内、あるいは同点だった。今回はそのうち「提案内容の効果」1項目の差が突出して大きかったが、他の1点差の項目も無視できない。全項目で少しずつ優位を積み上げる姿勢が、僅差の競争では有効と考えられる。
- 小規模案件でも評価方式は精緻である。設計金額495万円という比較的小規模な業務委託であっても、5段階評価×7項目、コストは算定式による按分方式という、体系立った採点が行われていた。予算規模の大小にかかわらず、自治体プロポーザルでは項目別の配点構造を踏まえた提案書作成が求められる。
- 公表される情報量は案件によって差がある。本件では評価結果表という1枚の資料のみが公表されており、募集要領や仕様書、審査委員の構成は確認できなかった。提案を検討する企業は、選定結果の公表資料だけでなく、公募段階の募集要領・仕様書を保存しておくことで、後日の評価結果との突き合わせがしやすくなる。
参考資料
- 選定結果ページ「令和7年6月3日 プロポーザル結果(観光交流物2)」美馬市公式サイト(https://www.city.mima.lg.jp/gyosei/docs/2084260.html /取得日2026年7月17日)
- 公募型プロポーザル方式の評価結果表(観光交流物2・PDF)(https://www.city.mima.lg.jp/fs/2/8/5/1/6/2/_/R07_____2_________.pdf /取得日2026年7月17日)
出典
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