ヤングケアラー、実態把握が支援につながらず——帯広市は回答率12.5%、幸手市は該当者ゼロ
関連自治体: 北海道帯広市 / 大分県臼杵市 / 埼玉県幸手市
北海道帯広市は2026年2月9日の市議会委員会で、2025年11月に初めて実施したヤングケアラーの実態調査の回答率が12.5%、501件にとどまったと明らかにした。子育て支援課長が答弁した。ヤングケアラーの把握を自治体の努力義務とする改正法の施行後、各地の議会では調査に乗り出したものの把握が支援につながらない状態が相次いで報告されている。
各市の表明
- 北海道帯広市(2026年2月9日・市議会委員会・子育て支援課長): 高校生と高校生相当の市民3,994通に郵送し、回答は501件で回答率12.5%だった。子育て支援課長は「初年度の取り組みとして一定の実態把握につながる回答が得られた」としつつ、「より多くの回答が得られればなお良かった」と述べた。家庭内のデリケートな内容に配慮し、参加を積極的に呼びかける取り組みは行わなかったとした。国の法改正で定期的な実施が望ましいとされ、次年度も継続する予定とした。
- 大分県臼杵市(2025年12月11日・本会議一般質問・市長): 2025年10月に小学5・6年生、中学生、高校生年代の合わせて2,187名へ記名式のアンケート調査を実施した。小中学生はタブレットでほぼ全員が回答したが、郵送した高校生年代は30.3%にとどまり、全体の回答率は62.3%、1,363人だった。ヤングケアラーの疑いがある子どもが18人おり、記名式のため特定できているとした。教育委員会を通じて学校へ情報を共有し、聞き取りや見守りを実施したうえで、支援が必要な場合に関係機関につなぐとした。市長は「子ども真ん中社会を目指す」と述べた。
- 埼玉県幸手市(2026年2月19日・本会議一般質問・健康福祉部長): 2025年6月に小学5・6年生と中学生を対象に実態調査を実施し、回答率は小学校高学年が91.2%、中学生が87.4%だった。健康福祉部長は、支援が必要な事案は「現時点ではそのような事案は生じていないものと認識している」と答弁した。ヤングケアラー支援条例については2年間の調査研究を続け、埼玉県や入間市、さいたま市などの先進事例を把握した段階にとどまるとした。
背景
子ども・若者育成支援推進法の改正により、家族の世話などを過度に行う子ども・若者がヤングケアラーとして国や自治体の支援対象に明記され、状況の把握が努力義務となった(2024年6月12日施行)。こども家庭庁は2022年度からヤングケアラー支援体制強化事業を設け、自治体の実態調査や、関係機関につなぐコーディネーターの配置を財政支援している。実態調査は自治体で広がる一方、回答率の低迷や、調査で該当者を把握できても相談・支援に結びつけるまでに壁がある。当社データベースでは、過去1年(2025年7月以降のデータ)で「ヤングケアラー」と実態調査・把握・支援体制・相談・コーディネーターのいずれかに言及した議会答弁関連の記録が250自治体で確認されている。
出典:
- 帯広市議会 2026年2月9日 委員会(動画: https://obihiro-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=6730 / 該当箇所 4:56頃〜)
- 臼杵市議会 2025年12月11日 定例会 本会議一般質問(議会中継の字幕データより・該当箇所 8:04頃〜)
- 幸手市議会 2026年2月19日 定例会 本会議一般質問(議会中継の字幕データより・該当箇所 47:53頃〜)
- こども家庭庁「ヤングケアラーについて」(https://www.cfa.go.jp/policies/young-carer/)
- こども家庭庁「ヤングケアラー支援の強化に係る法改正の経緯・施行について」(https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e0eb9d18-d7da-43cc-a4e3-51d34ec335c1/628c375f/20240612_policies_young-carer_11.pdf)
- 当社データベース集計: 2025年7月以降の議会関連記録を対象に「ヤングケアラー」と「実態調査/把握/回答率/支援体制/相談窓口/コーディネーター/つながらない」のいずれかに言及した記録を集計(250自治体)
記事中の議会での発言・答弁は、公開されている会議録・中継動画に基づいています。動画リンクは公開元の都合により視聴できなくなる場合があります。