コラム

自治体にも「アーリーアダプター」がいる——動く自治体と様子見の自治体を見極める

自治体は横並びだと思われがちだが、実際はそうではない。民間と同じように、自治体にも新しいものをいち早く取り入れる「アーリーアダプター」がいる。一方で、絶対に動かないところ、実績が出てから動くところもある。まず、すぐ動く層=アーリーアダプターを探し当てる。ここが営業の起点になり、相手のタイプで当て方も変わる。元自治体職員の目線で書く。

この記事の要点

  • 自治体にも、新しいものをすぐ試す層(アーリーアダプター)がいる。
  • 動きが早いのは、首長が民間出身だったり「どんどん新しいことをやろう」という方針を出しているところ。
  • 「とりあえずやってみよう」というところもあれば、「絶対やらない」ところ、「様子見」のところもある。
  • 様子見には実績が要る。相手のタイプに合わせて、当て方・見せ方を変える。

自治体にも「アーリーアダプター」がいる

新しいサービスに対して、すぐに動く自治体は確かにある。何でもまず試してみよう、という姿勢のところだ。民間でいうアーリーアダプター、つまり新しいものを早く取り入れる層が、自治体にも存在する。だから「自治体はどこも慎重で遅い」と一括りにするのは正しくない。動くところは、本当に早く動く。

動きが早いのは、首長が民間出身・革新志向のところ

では、どういう自治体の動きが早いのか。ひとつの分かりやすいサインが、首長だ。首長が民間出身だったり、「どんどん新しいことをやっていきましょう」という方針を明確に出しているところは、動き出しが早い。いろいろな新しいものを取り込んで、チャレンジしようというムードがある。首長がどこを向いているかは、住民の暮らしと地域の課題は、どう調べるかで触れたように、市長の言葉から読み取れる。

補足しておくと、動く自治体には、民間からの提案を受け止める窓口が用意されていることが多い。たとえば横浜市の「共創フロント」は、テーマを問わず民間が事業アイデアを持ち込める提案窓口で、2008年度から2015年度までの8年間で541件の提案が寄せられ、231件が実現している(出典: 横浜市 共創フロント)。神戸市の公民連携推進室のように、専任の受け皿を置く自治体もある。こうした窓口の有無は、その自治体が外からの提案にどれだけ開いているかを測る1つのサインになる。

「やってみよう」「絶対やらない」「様子見」

とはいえ、すべての自治体が前のめりなわけではない。大きく分けると、「とりあえずやってみよう」というところ、「絶対にやらない」というところ、そして「様子見」のところがある。前のめりなところに新しい提案を持っていけば話は早いが、絶対にやらないところに同じ熱量で当たっても、なかなか進まない。まず相手がどのタイプかを見立てることだ。前向きな自治体の探し方は展示会や広告の前に一次情報でも触れている。

様子見には実績を——タイプに合わせて当て方を変える

様子見のところは、ある程度の実績を見てから動く。だから、こうした自治体には他所での実績や効果の裏付けを示すことが効いてくる。逆に、アーリーアダプターには、新しさやチャレンジの余地そのものが響く。相手のタイプによって、刺さるポイントは違う。同じ提案を同じように当てるのではなく、その自治体が今どの構えでいるのかを読んで、見せ方を変える。ここを意識するだけで、営業の効率は大きく変わる。

どの自治体が新しい仕組みを議会で取り上げているかは、会議録から読み取れる。当社が議会の会議録を横断的に集計したところ、過去1年間で庁内の生成AI活用は549自治体、システム標準化・ガバクラは540自治体の議会で議論されていた(自治体の課題ランキング)。新しい仕組みを議会で前向きに取り上げている自治体は、動きの早い層を見つける手がかりになる。


この記事は、自治体営業のリアル——よくある7つの勘違いと、正しい攻め方の論点別の解説です。

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